【ミニバス】これって練習のしすぎ?頻度はどれくらいが適切?対策は?

バスケットは運動量が多く激しいスポーツです。

筆者は10年以上整形外科クリニックで理学療法士として勤務していますが、
ミニバス選手でも様々な痛みを抱えながらプレーする選手を何人も見てきました。

ミニバスの選手に発生する障害は、疲労が蓄積する事で発生する“オーバーユース障害”が多くを占めます。

疲労対策の方法は多数あります。

・食事の量・質にこだわる。

・睡眠を規則正しく、十分な量を確保する。

・弱い筋肉を事前に鍛える。

・バランス良い体の使い方の指導を受ける。

・練習、試合後のストレッチやマッサージなどのケアを徹底して行う。

練習量を適切に調節する。

特に、本記事では最初に練習量を適切に調節するを深掘りしていきます。

筆者が住んでいる地域は比較的バスケットが盛んな地域で、たくさんのミニバスチームが存在します。

正式なアンケート調査をした訳ではありませんが、大体のチームの練習頻度は

・土日(3〜4時間)

・平日2~3回(2~3時間)

週4~5回、時間にすると10〜15時間程度になるのではないでしょうか?

「うちのミニバス、練習しすぎじゃない??」

「毎日ヘトヘトになって帰ってくるけど怪我が心配・・」

「チーム練習以外にも自主トレでバスケしにいくけど、疲労は大丈夫??」

そんな不安を抱えている保護者の方は多いかと思います。

本記事はそんな方々の悩みを解決する一助になるかもしれません。

筆者が調べた限り、練習時間の長さと障害発生リスクの関係を調べた研究があり、

1週間あたりの練習時間の合計(本格的なプレーの練習・トレーニング)>年齢

となると、障害発生リスクが増えると結論づけられています。

つまり、10歳の子は1週間あたり10時間、12歳の子は12時間を超えると怪我の可能性が高まるという事です。

以下で論文の詳しい内容や筆者の考察、具体的な対策などをご紹介します。

ご自身のお子さんの練習・運動量に不安をお持ちの方は是非最後までチェックしてみて下さい。

目次

単一スポーツ特化と怪我の発生関係を調べた研究

“Sports-Specialized Intensive Training and the Risk of Injury in Young Athletes”

A Clinical Case-Control Study

Neeru A. Jayanthi,*y MD, Cynthia R. LaBella,z§ MD, Daniel Fischer,y Jacqueline Pasulka,z and Lara R. Dugas,y PhD, MPH
Investigation performed at Loyola University Chicago Stritch School of Medicine, Maywood, Illinois, USA, and Ann & Robert H. Lurie Children’s Hospital of Chicago, Chicago, Illinois, USA

「スポーツに特化した集中トレーニングと若年アスリートにおける怪我のリスク」についてを調べた研究です。(2015年)

以下で論文の内容を簡単にご紹介します。

詳しく確認したい方は以下から。

↓↓

Sports-specialized intensive training and the risk of injury in young athletes: a clinical case-control study

対象は以下の通り、

調査項目は以下の3点

①対象者の週当たりの運動時間(専門スポーツ、体育の授業、自由遊びの合計)

②スポーツ専門性の程度

③成熟度(思春期)

練習頻度と障害発生は相関する

加えて、専門スポーツ時間:自由運動時間=2:1の割合を超えると障害発生のリスクが増大していた。
(専門スポーツの時間が長くなると障害発生が増える。)

早期の専門競技特化は重篤な障害発生のリスクに

単一スポーツに特化する事で障害発生と関係があるかを調べるために以下の質問により専門度レベルを確認されました。

①‘‘Can you pick a main sport?’’
(メインのスポーツを選べますか?)

②‘‘Did you quit other sports to focus on a main sport?’’
(メインスポーツに集中するために他のスポーツを辞めましたか?)

③‘‘Do you train .8 months in a year?’’
(1年のうち8カ月はトレーニングしていますか?=1年を通してトレーニングしますか?)

上記の質問に対して
Yesが1つ⇨Low 2つ⇨Middle 3つ⇨Highと定義された。

それぞれの専門レベルと怪我発生の関係は以下の通り。

障害なし群は47.7%、約半数近くが専門レベルLowであった。

軽度の障害を負った群の割合は専門レベルで大きな差は見られない。(Lowが高い。)

診察した医師が少なくとも1ヶ月以上に休養を必要とする障害は「重度な障害」と定義された。

重度な障害を負った群はMiddle、とHighで高い割合を占めた。

突発的に起こる怪我(外傷)は専門レベルHighは割合が低かった。

成熟度の違いは障害発生と相関なし

成長度の違いをタナー段階により調査。

段階による障害発生に有意差はみられなかった。

結論

専門スポーツの時間の長さと障害発生は相関する。
特に、専門スポーツの時間の長さ>年齢になると障害発生リスクはさらに増大するため注意が必要。

また、専門スポーツ時間:自由運動時間=2:1の割合を超えると障害発生のリスクが増大していた。
(専門スポーツの時間が長くなると障害発生が増える。)

重度な障害のリスクが最も高かったのは、専門レベルHighの群であった。

成熟段階の違いによる障害発生には有意差がみられない。

筆者の考察

「練習時間はチームスポーツである以上個人でコントロール出来ないし・・・・・」

こんな声が聞こえてきそうですが、ごもっともな指摘だと思います。

チームに加入して間もない、又は低学年のうちはある程度コントロール可能です。
しかし、チームの中心メンバーになるとそうもいきません。

・練習試合には必ず参加

・チーム練習は体調不良が無ければ絶対。(多少の痛みがあっても)

・チーム練習以外の個人練習も

どこのチームでも同じような状況ではないでしょうか?

そんな方へ向けた具体的な対策方法をご紹介していきます。

上記の研究内容は、練習時間の具体的な推奨時間が示され、早期の専門競技化と障害の関係性を明らかにした有用な研究です。

しかし、研究論文を読み、すべてを鵜呑みにする事は危険です。

「科学的根拠」は多くの人に当てはまりますが全ての人に絶対当てはまるわけではありません。

専門スポーツの時間の長さ>年齢になっても全く障害が発生しないケースも、

幼い頃からバスケットに専念しても怪我ひとつせずに成長する選手も当然います。

そんなケースに当てはまる選手の多くは、

「疲労をためないようにケアをしている」

「負荷を分散する上手な身体の使い方が出来る」

以上の2点に当てはまる事が多いのではないかと考えています。

疲労をためないようにケアをしている

疲労をためないケアのポイントは以下のようにたくさんあります。

  • 筋肉の柔軟性を高めるストレッチ
  • 筋膜をリリースする
  • 受容器を刺激する
  • 皮下組織の癒着を改善する
  • 血流を改善する、組織を修復する
  • 副交感神経を優位にする

これらを上手に活用し、自分の身体に必要なケアを実施できる選手は間違いなく障害発生のリスクを抑えられます。

下のリンクから詳しく確認する事が出来、かつ、プロが使用するおすすめのケア道具も紹介しています。

↓↓

>>【バスケ】プロもおすすめ 疲労回復を促進するケア用品まとめ 

負荷を分散する上手な身体の使い方が出来る

ジャンプ、ダッシュ、切り替えしなど激しい負荷が身体にかかっても、上手な身体の使い方を出来ている選手は全身の筋肉・関節を使用することでうまく負荷を分散します。

上手な身体の使い方とは具体的に言うと、「パワーポジション」です。

バスケットに限らず、様々なスポーツの基本的な姿勢といわれるパワーポジションは、単純に腰を低く落としているわけではありません。

身体の硬さや筋力の違いによって上手く取れない原因は様々。

以下のリンクより、パワーポジションが上手く取れない主な原因を確認できます。

↓↓

>>バスケ上達の鍵。「パワーポジションがとれない」は理学療法士が解決

「なんだが動きがぎこちない・・・」周りからみてそんな印象を抱かれる選手のほとんどが上手にパワーポジションをとれていません。

是非、参考にしてみて下さい。

まとめ

・専門スポーツの時間の長さと障害発生は相関する。
特に、専門スポーツの時間の長さ>年齢になると障害発生リスクはさらに増大する。

・専門スポーツ時間:自由運動時間=2:1の割合を超えると障害発生のリスクが増大していた。
(専門スポーツの時間が長くなると障害発生が増える。)

・早期の専門スポーツ特化は重症な障害発生のリスクになる。

上記ポイントを個人で解決出来なければ

①「疲労をためないようにケアをする」

②「負荷を分散する上手な身体の使い方を練習する」

を目指す。

子供の成長は早く、特に運動のゴールデンエイジ期(10~12歳)は顕著に運動能力が発達します。

そんな大事な時期に怪我をしてコートを離れる期間はとてももったいないです。

まして、重度な障害を負って数カ月プレー出来ないのは本人にとって大きなストレスになります。

本記事を読んで頂くことで、怪我に悩む選手が少しでも減ってくれる事を願っています。

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