バスケットボールは様々あるスポーツの中でも走る力が重要視されるスポーツです。
・走り負けたらバスケットは絶対に勝てない
・うちは小さいチームだからスピードで勝負する
・走る体力がないと怪我にもつながる
など、嫌というほど聞いたことのある言葉ではないでしょうか?
では、「バスケットに必要な体力」がついた」と評価するのに適切な指標はなんでしょうか?
① 50m走のタイム
②3000m走のタイム
③フルマラソンのタイム
④その他
筆者は同様の質問をバスケットボール現場のコーチ、選手にした事がありますが、最も多い答えは
②3000m走のタイム
でした。
①=短距離だけの能力でバスケットの体力とは表現されない
③=長距離の能力だが、バスケットに必要な距離とあまりにもかけ離れている
④=想像がつかない
よって、ある程度のスピードも持久力も求められる②と答えを導く方が大半です。
今回の記事では、上記の考え方で「バスケットに必要な体力」を評価するのが適切かを考えて行きます。
「バスケットに必要な体力」とは?
上述した考え方は正解に近い考え方だと思います。
しかし、バスケットにおいては完全な正解ではありません。
バスケットにおいては、3000m走のように一定に近いスピードで走る続けるのではなく、
ダッシュ ー ジョグ ー 止まって休憩 ー ダッシュ
のようにスピードの強弱をつけながら
走るパフォーマンスを維持しなければなりません。
日本女子トップレベルの選手を対象にした研究で、バスケットの試合中にどの程度の速度で移動しているかを調べた研究があります。
移動速度の分類では、
0 m/sec は約10%、
0 ~1.5m/sec は約40%、
1.5~2.0m/sec は約10%、
2.0~3.0m/sec は約15%
3.0~4.0m/sec は約10%
4.0~5.0m/sec は約 7%
5.0m/sec ~は約 8 %
で、ポジション間に有意な差は見られなかった。
山田洋・他 日本女子トップレベルのバスケットボール選手における試合中の移動距離及び移動速度 東海大学スポーツ医科学雑誌,27,p29-36.2005
この研究によると、完全に止まっている時間は全体の10%しかありません。
また、最も多い時間を示しているのは2.0m/sec以下の「ジョギング程度の速さ」が50%を占めます。
「走っている」とされるスピードは3.0m/sec以上のスピードとされており、全体の25%程度。
バスケット選手はこの強弱のある運動の中、完全に止まる事なく体力を回復させて動き続ける能力が求められます。
このように、運動強度の強弱が変化する運動を持続的に行う能力を
「間欠的持久力」
と言います。
持久力の種類
持久力には種類があり
・持久力(全身)
・間欠性持久力
・間欠性回復能力
に分かれています。それぞそれの能力を測る事が出来るテストが
YO-YOテストです。(詳しいテスト方法が書かれたリンクを添付します。)
それぞれの違いは若干わかりずらいですが、バスケット選手へ筆者がおすすめするのは
間欠性回復能力テストです。
間欠性回復能力テストをおすすめする理由
体育館で実施可能
中学生・高校生の中には、毎日体育館が使えない学校がほとんどです。
そのため、どうしてもグランドや学校の周りなどで走って体力作りをする機会があると思います。
もちろんそういった努力を否定するつもりは全くありません。
が、グランドとコートを走るのは効果が変わってきます。
試合で実際に使うバッシュと外を走るランニングシューズでは固定力や、クッションが違います。
コートとグランドでは硬さが異なり、地面を蹴った時の反発(床反力)も違います。
気温や感じる空気も違うと、効果が変わってくるのも想像しやすいのではないでしょうか?
そのため、800m〜3000m走などの中距離走を「屋外」で測定するよりも
YO-YOテストで「体育館」で測定する事をおすすめします。
目標値を設定しやすい
YO-YOテストは有名なテストのため、様々なレベル・年代・競技のアスリートが実際に取り組んでいます。
インターネットで検索してもラグビーの日本代表やJリーグチームが取り組んでいる記事がすぐに見つかります。
同年代アスリートの記録を参考に、チーム又は個人の目標をしっかり定める事ができます。
はっきりとした目標は選手のモチベーション維持に重要な要素だと思います。
最もバスケットの試合に近い
間欠性回復能力テストはYO-YOテストの3つの中で最も休憩時間が長く確保されています。
間欠性持久力テストも休憩時間はあります。
しかし、時間が短いため後半になると、ほとんど走りっぱなしの状態に近づいてしまいます。
バスケットの試合おいては、笛が鳴り、プレーが止まる時間が必ずあります。
そういったシチュエーションに近づけるためにも休憩時間がしっかり確保されているテストが良いかと思います。
メンタルトレーニングの効果大
同じ持久走トレーニングである「○○m走」であれば、決まった距離を走り切れば終わります。
「○○間走」であれば、時間を走り切れば終わります。
しかし、YO-YOテストは、自分の心が折れるまで続きます。
そのため、どんなレベルのアスリートが実施してもすごくきついです。
どれだけきついかをラグビー日本代表としてワールドカップにも出場している、姫野和樹選手が語ってくれている記事があります。
中でも最も僕が……いや、チームの全員が〝狂気〟を感じたメニューが〝Yo-Yo テスト〟と呼ばれる持久力のテストだ。
どんなに厳しいトレーニングでも「ここまでいったらOK」「そこで終わり」というゴールや数値があれば、人は誰でもそれを目指して頑張れるものだ。
だが、このテストにはそれがない。
終わりが決められていない中で全力を出し続けなければいけないのは、メンタルも激しく消耗していく。もはや〝無間地獄〟だ。
「引用:姫野和樹が明かす「絶対に日本代表しかやらない」キツいトレーニング 名将ジェイミーは何を狙っていたのか?」
これを見るだけでもいかに辛いトレーニングかが想像できるのではないでしょうか?
筆者もトレーナーとして選手に実施した時はすごく嫌がられた記憶があります。
そのため、自分の頑張り次第で結果が大きく変わるこのテストは体力だけで無く、メンタル面の向上を大きく期待できるものだと考えられます。
まとめ
バスケットに重要な持久力のテストであるYO-YOテストをご紹介しました。
YO-YOテストは選手の体力・メンタルのタフさをチェックするのに有用なテストです。
紹介してきた通り、非常に負荷の高いテストです。
真夏の熱中症が心配の条件下や、著しく疲労が溜まっている時期にはおすすめできません。
疲労が溜まっている際には、一生懸命トレーニングを行うよりも身体がしっかし回復するようにケアするべきです。
どんな事を考えてケアするべきか?どんな道具を使えば効率が良くなるかをまとめた記事もあるますので、是非参考にして下さい。
↓↓

>>【バスケ】プロもおすすめ 疲労回復を促進するケア用品まとめ
持久力は短期間に大きく向上するものではないため、頻繁に測定するものではありませんので
事故には十分気をつけて実施して頂きたいと思います。
今回は詳しくご紹介できませんでしたが、体力・走力を伸ばすために必要なトレーニングを知りたい方は以下の記事が参考になると思います。
一流のランナーはこの足の使い方が当たり前にできるそうです。
>>筋肉量だけじゃない! 瞬発力のある選手はこんなトレーニングをする!
最後に、間欠性回復能力テストの音源の入った動画をご紹介致します。
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