スポーツ選手にとって身長が高い事は重要な要素です。
特にバスケットボールのようにジャンプする競技にとってはなおさら。
世界最高峰のバスケットボールリーグであるNBA選手の平均身長は200cmを超えます。
日本のプロリーグであるBリーグでも平均身長は191cmと一般の方に比べてかな高い傾向にあります。
「将来、プロバスケットボール選手になりたい!!」というお子さんの身長が伸びるのかどうか?
これはかなり気になる事だと思います。
両親の身長から、お子さんの将来の身長をある程度予測する事が可能と言われています。
男子の場合 (父親の身長+母親の身長+13)÷2±9
女子の場合 (父親の身長+母親の身長−13)÷2±8
これが予想値になります。
具体的に計算すると
父172cm 母157cmの場合
男子の場合 (172+157+13)÷2=171±9
女子の場合 (172+157−13)÷2=158±8
となるわけです。
つまり、日本人の平均的な身長の両親から200cmを超えるような長身の子が生まれる可能性は低い事がわかっています。
しかし、ポイントは最後の±の部分。
男子であれば、予測値より9cm高くなる可能性が十分あるし、逆に9cm低くなる可能性もあります。
(女子は8cm分)
つまり先ほど計算した男の子が180cmになる可能性も、162cmになる可能性もあるわけです。
この+に転じるか、−に転じるかを決めるのが習慣です。
ポイントは
・早熟を防ぐ生活習慣を心がける(肥満、夜ふかし)
・タンパク質の多い食事を心がける
・睡眠時間を9時間以上確保する
・運動量が適切かをチェックする
です。
以下で詳しくご紹介していきます。
早熟 VS 晩熟
身長が急激に伸びる時期は「思春期」です。
一般的に思春期を早く迎える子を「早熟」。
遅く迎える子を「晩熟」と言われます。
早熟の子は小学生で思春期を迎えるため、周りよりも早く身長が伸び始めて、周りよりも高い事が多く見られます。
一方、晩熟の子は、小学生の頃は一番前にいたのに中学生になると一気に身長が伸びて気がついたら180cmに・・・なんて事も珍しい事ではありません。
実は晩熟の子の方が最終的な身長が高くなる傾向にある事がわかっています。
早熟、晩熟どちらのタイプかはある程度遺伝の影響があると思います。
しかし、普段の生活の仕方で早熟を遅らせる事が可能である事がわかっています。
早熟を防ぐために特に重要な事は「食事」と「睡眠」、です。
それぞれの項目で詳しい内容をご紹介します。
タンパク質の多い食事
以下は、伸長の伸ばし方を解説された書籍
「すごい伸長の伸ばし方」 著者:田邊 雄
を参考に書きます。
伸長を伸ばすために必要な栄養素はいくつかありますが、最も重要なのはタンパク質の摂取量です。
タンパク質は様々な食品に含まれていますが、質の良い高タンパク食と質の良くない低タンパク食があります。
・高タンパク食(肉、魚、卵、乳製品)
・低タンパク食(小麦製品、パン、パスタ)
低タンパク食に対して高タンパク食を多く摂取する国は伸長が高いと言う事がわかっているそうです。
オランダ 184cm (2.65倍)
アメリカ 179cm (1.65倍)
アルメニア 172cm (0.45倍)
※()内の数字は低タンパク食:高タンパク食の比率
オランダやアメリカのように高身長を目指すためには低タンパク食よりも高タンパク食を多く摂る必要がある事を覚えておいてください。
また、「高タンパク食と低タンパク食の割合が大事」と聞くと、
そもそもの主食量を減らせば良いのかな?と考える方がいると思います。
それはいけません。
低タンパク食である主食は炭水化物で、動くためのエネルギーになります。
バスケットは激しいスポーツで多くのエネルギーを必要とします。
主食を減らす事で、エネルギー不足が起きると体の中でどんな変化が起こるかというと、
”筋肉(タンパク質)を分解してエネルギーを作り出す”
事が起こります。
こうなると、せっかく練習して鍛えた筋肉が落ちてしまったり、タンパク質量が不足して伸長の伸びに悪影響を及ぼします。
また、身体を作るタンパク質が不足すると怪我をするリスクも当然増えます。
逆に、炭水化物や砂糖を多く含む甘いものなどを摂取し過ぎる事で、「肥満」のリスクが増加します。
肥満は早熟を促進する事がわかっています。
「肥満はインスリン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、レプチンといったさまざまなホルモンの血流への放出と関連しています」と、米コロンビア大学アービング医療センターの小児科准教授アビバ・ソファー氏は言う。
これらのホルモンは食欲や満腹感、体脂肪の蓄積などに影響を与えるほか、 思春期のタイミングを変化させる可能性がある。
NATIONAL GEOGRAPHIC 2024.6.26 早まり続ける女の子の思春期、なぜ? 早すぎる子の困難と対処法は より
食事メニューは和食中心がおすすめ
日本人の多くの家庭では、朝、昼、夜に分けて食事をします。
身長を伸ばしたい時期にある、小・中学生の昼は学校での給食で摂取するためコントロールする事は難しいでしょう。
特に、抜きがちな朝の食事を充実させる事が大切だと思います。

和食、洋食どちらにするかはお子さんの好みや、家庭によって様々ですが、筆者はできる限り和食で準備する事をおすすめしたいと思います。
洋食はお子さんが食べやすく、準備も比較的楽な事から朝は洋食の方も少なくないはず。
洋食の欠点としては、タンパク質のおかずとの組み合わせバリエーションが乏しいこと。
パンに合うタンパク質は主に
・卵
・ウィンナー、ハムなどの加工肉
・牛乳、ヨーグルトなどの乳製品
などに限られる事が多いと思います。
写真のメニューを栄養成分を計算できるアプリで確認してみました。
10歳、140cm、35kgの子供と設定した結果が以下の写真。

卵やハム、その他野菜も盛り付けられすごくバランスの良いメニューですが、これでもタンパク質の量は若干不足しているようです。
次に和食の場合を見てみます。
和食の場合は、タンパク質のおかずは
・卵
・ウィンナー、ハムなどの加工肉
・牛乳、ヨーグルトなどの乳製品
・魚
・肉
・豆腐、豆などの大豆食品
なんでも合います。

上の写真では、魚、卵、大豆が含まれており、タンパク質量も十分な事がわかります。
※和食は食塩量が過多になりやすい傾向にあるため注意が必要かもしれません。
準備の大変さや子供達の箸が進まないなどの問題がなければ和食中心の朝ご飯にして、様々な食品からタンパク質を取り入れてもらう事が身長の伸びにつながると思います。
身長を伸ばすためには「9時間」寝よう!
睡眠により、身長の伸びに重要な「成長ホルモン」が分泌されます。
また、夜ふかしは早熟を早めると言われているため避けるべきです。
以下は米国国立睡眠財団が推奨する年代別の推奨睡眠時間です。

出所:米国国立睡眠財団ホームページ
これによると小学生に推奨される睡眠時間は9〜11時間です。
家から学校までの距離も地域によって違いはあると思いますが、ここでは8時には家を出ると想定します。
学校準備、身支度、朝ご飯に1時間程度は必要だと考えると、7時には起床している必要があります。
9時間以上の睡眠をとり、7時には起床をするためには、22時に完全に入眠している必要があります。
22時に入眠しているためには、21時〜21時半頃には布団に入っている必要があります。
最低必要時間の9時間と想定しても上記のようなスケジュールです。
毎日のように練習や塾、親も仕事で忙しいとなかなか大変なスケジュールになると思います。
素早く入眠するためにはいくつかのポイントがあります。
以下でそのポイントを紹介していきます。
朝日を浴びる

朝起きたらまず、カーテンを開ける、外を散歩するなどしてとにかく日光を浴びましょう。
これは気持ちいいだけでなく、科学的におすすめしたい理由があります。
朝日を浴びることで、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が止まります。
その分、幸せホルモンと言われる「セロトニン」の分泌が活性化されます。

日光により分泌されたセロトニン(幸せホルモン)は夜になるとメラトニン(睡眠ホルモン)の原料となります。
セロトニンが分泌される事は、日中は気分よく活動する事が出来るだけでなく、夜のメラトニン分泌を促す事に繋がります。
また、メラトニンは身長を伸ばすの必要な成長ホルモンの分泌促進と早熟を抑制する作用を持つホルモンです。
そして
もし、お子さんが起きるのが遅く、学校に行く時間ギリギリに起きるような習慣が出来ている場合は、見直して見ることをおすすめします。
筆者は息子と一緒に6時に起きる習慣があります。
天気が悪くなければ外に出かけて
・一緒に軽いランニング
・キャッチボール、バドミントン
・ハンドリング練習
・庭木の水やり、犬の散歩
などをします。
朝、一緒に時間を共有する事で日光を浴びる時間を増やせるとともに以下のような効果を実感しています。
・試合の振り返りを感情的にならずに行える
・集中してバスケットの技術練習を行える
・他競技に取り組み様々な体の動かし方を学べる
・家事やペットのお世話を通して観察力や優しい心を育む
湯船に浸かる

シャワーで汗を流す程度で済ませるのは時短になり一見、睡眠時間を確保する事につながるようにも感じます。
しかし。これはおすすめ出来ません。
毎日、湯船にしっかりと浸かる事をおすすめします。
自然な眠気を感じるためには、深部体温が下がっている必要があります。
湯船に浸かり、一度上昇した体温は上がった後から徐々に下がります。
体温と共に深部体温も下がり、入浴後90分くらいに入眠のベストなタイミングが来ます。
入眠の時間から逆算して、湯船に浸かるようにしてみましょう。
テレビ、スマホは就寝前には使用しない

強い光刺激は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、覚醒する効果があります。
特に、スマホから発せられるブルーライトは強い刺激になります。
就寝の1時間前にはこれらの光刺激はなるべく控えるようにしましょう。
私の周りでは、「バスケットの試合は寝る直前まで見てOK」とするご家庭もあると聞きます。
しかし、これもスムーズな入眠を妨げる原因になり得ます。
また、リビングの照明は調光できるのであれば、就寝前は暗めに、暖色の色にするとよりスムーズに入眠できるかもしれません。
ハンドリング練習をするために照明がばっちりの部屋で寝る直前まで練習をするのは覚醒を促してしまいます。
就寝時の照明も同様の理由から、真っ暗にする事がおすすめです。
運動は身長を伸ばすためにも必須

運動する事で身長が伸びる事が期待できる理由は以下の3つです。
①成長ホルモンが分泌
②食欲向上、栄養吸収率up
③睡眠の質、量の改善
運動、特に60分を超えるような長時間の運動を行う事で、多量の成長ホルモンが分泌される事がわかっています。
バスケットは運動量が多いスポーツのため、「運動量不足」が身長の伸びを阻害している可能性は低いと思います。
逆に、「運動のし過ぎ」で身長が伸びなくなってしまう可能性を考えるべきです。
「運動のし過ぎ」をチェックする最も簡単な方法は、体重を毎日決まった時間に測る事です。
運動を始めたばかりで元々肥満傾向の子供には当てはまりませんが、伸長が日々伸びて、筋肉も増えていく子供達は体重も一緒に増えていくはずです。
“伸長は伸びているのに、体重は減っている”
これが危険サイン。
運動のし過ぎかもしれません。
運動量があまりにも多いと、体に貯蔵しているエネルギーが足りず、身体の筋肉を分解してエネルギーを作る反応が起こります。
毎日食事をしっかり摂っているのに、体重が減っている場合は要注意です。
※繰り返しますが、太っていた子の脂肪が減少しているのは問題ありません。
毎日、体重を測ってチェックしましょう。
また、「練習が多すぎるのはわかっているんだけどコーチが厳しくて・・・」という声もよく聞きます。
コーチとの関わり方にお悩みの方向けに書いた記事もありますので参考にしてみて下さい。
↓↓
【ミニバス】怖い、信頼出来ないコーチとのトラブルどう解決する?
まとめ
・早熟を防ぐ生活習慣を心がける(肥満、夜ふかし)
・タンパク質の多い食事を心がける
・睡眠時間を9時間以上確保する
・運動量が適切かをチェックする
以上がポイントでした。
ある程度は遺伝で決まってくる身長ですが、習慣により伸ばす事が可能である事がわかってきています。
記事冒頭でも述べたように、一般的な身長の両親から生まれた子供も習慣次第では180cmの高身長に成長する可能性は十分にあります。
180cmあればBリーガーとして活躍している選手はたくさんいます。
この記事が、バスケット・スポーツ選手になりたいお子さんをサポートする親御さんの役に立つ事を願っています。
最後に、本記事を作成するにあたり参考にさせて頂いた書籍はAmazonでも購入可能です。
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