睡眠時間が減るとパフォーマンスが下がる バスケ選手が知るべき睡眠確保の方法とは?
バスケットは激しいスポーツで、毎日の身体のケアは欠かせません。
「身体を大きくするために毎日○○gのタンパク質を取るようにしています!!」
「ジャンプ力をupさせるためにスクワットを追い込んで実施しています!!」
「毎日疲れを残さず良い練習ができるように、風呂上がりは必ずストレッチをやっています!!」
向上心の高い学生さんからはよくこんな前向きな話を聞きます。
昨今は、有益な情報が簡単に入手できるようになり
・栄養
・トレーニング
・障害予防などのケア
を行う選手が増えてきているように感じます。
しかし、身体作りやコンデイションの維持に欠かせないはずの「睡眠」は軽視されがちです。
「学校の課題や身体のケア。友達付き合いやチームとの連絡・・・。考える事が多くて眠れない・・・」
最近の子どもたちは、20~30年前の子どもとはまるで違う環境で生活しています。
スマホやSNSといった便利なツールが日常の一部となり、情報や刺激に常にさらされる生活が当たり前になっています。
夜になっても頭が休まらず、なかなか寝つけない子も少なくありません。
「ちょっと動画を見るだけ」「友達と少しLINEを・・・」
——「少し」のつもりが、気づけば深夜に…。
睡眠時間がどんどん削られている我が子をみて、心配している方も多いかもしれません。、
一方、食事やトレーニングは忙しくても欠かさずみなさん頑張っています。
栄養が足りないと筋肉がつかない、走れない。
トレーニングしないと競技力が向上しない、怪我をする。
わかりやすいメリット・デメリットがあれば人は行動を実施しやすくなります。
では、睡眠が足りないとどうなるか。
・疲れが取れない
・日中に眠くなる
・朝起きられない
一般的に理解されている睡眠不足のデメリットはいずれも抽象的です。
「毎日5時間しか寝ていない。けど特別疲れも感じないし、練習が始まったら眠たくなる方が難しいし問題ない。」
そんな風に解釈している選手は要注意。
アメリカで行われた、睡眠とバスケットのパフォーマンスの関係を調べた研究によると、睡眠時間を増やす事で
バスケットのパフォーマンスが向上する事がわかっています。
本記事を読む事で、
・睡眠不足の解消により、具体的にどんなパフォーマンスが伸びるのか?
・どうしたら睡眠時間は確保出来るのか?
を知る事が出来ます。
睡眠不足のデメリットを知ると行動する意欲が向上します。
寝る時間を伸ばすための方法を知る事で、パフォーマンス向上が期待できます。
「今よりもっと上手くなりたい。」「毎日良いパフォーマンスを維持したい。」
と考える選手は本記事を最後まで読んで頂き、睡眠がいかに大事かを見直してみて下さい。
睡眠時間の延長はパフォーマンスを向上させる
睡眠時間の延長がバスケットのパフォーマンスに影響を与える事を示した研究があります。
以下で研究の内容を一部ご紹介します。
原文を確認したい方は以下のリンクから
↓↓
The effects of sleep extension on the athletic performance of collegiate basketball players
(睡眠延長が大学バスケットボール選手の運動パフォーマンスに与える影響)
Cheri D. Mah, MS;Kenneth E. Mah, MD, MS;Eric J. Kezirian, MD, MPH;William C. Dement, MD, PhD
研究目的
複数週間にわたる睡眠時間延長が、バスケットボールに特有の運動パフォーマンス、反応時間、気分、日中の眠気に与える影響を調査すること。
方法
被験者:スタンフォード大学男子バスケットボールチームの11名の健康な学生(平均年齢19.4±1.4歳)
実施内容:最初に2~4週間の通常の睡眠を維持(ベースライン期間)した後、5~7週間にわたり毎晩最低10時間ベッドにいることを目標にした睡眠延長期間を実施。
各期間に以下の測定を毎日、又は練習後に実施。
測定項目:①スプリントタイム
②シュート精度(フリースロー・3ポイント)
③反応時間
④日中の眠気
⑤気分
詳しい測定方法は以下の通り。
①スプリントタイム
ベースラインからハーフコートまで走り戻り、さらにフルコートまで走って戻る合計距離282フィートのスプリントを各練習後に測定。
②シュート精度(フリースロー・3ポイント)
フリースロー:10本中の成功数
3ポイントシュート:15本中の成功数(右コーナー5本、正面5本、左コーナー5本)
を各練習後に測定。
③反応時間(Psychomotor Vigilance Task:PVT)
使用機材:Palm Pilot(PDA)を使用。
実施内容:10分間の試験中、2〜12秒の間隔でランダムに現れる視覚刺激に対して、利き手の親指でボタンを押して反応する。
実施頻度:1日2回(午前と午後)
④日中の眠気(Epworth Sleepiness Scale:ESS)
ベースライン期間と睡眠延長期間の終了時に、被験者にESSを実施。
8つの日常的な状況での眠気の程度を0~3点で評価します(最大24点)。
スコアが高いほど眠気が強いことを示します。
⑤気分の測定(Profile of Mood States:POMS)
POMSは心理的な評価尺度で、過去1週間の気分状態を65項目の形容詞で答える形式になっています。結果は以下の6つのサブスケールに分類されます:
結果
睡眠時間:ベースラインより平均110.9分延長(P < 0.001)
スプリントタイム:16.2秒 → 15.5秒(P < 0.001)
フリースロー成功率:9%向上(P < 0.001)
3ポイント成功率:9.2%向上(P < 0.001)
PVT反応時間・ESSスコア:有意に改善(P < 0.01)
気分(POMS):活力増加、疲労感減少(P < 0.001)
さらに、選手たちは以下のような主観的な改善を報告しています:
- 身体の回復が早くなった
- ウェイトトレーニングやコンディショニングの調子が良くなった
- 怪我が少なかった
睡眠時間を伸ばすためには?
以上が論文の内容でした。
「大事なのはわかるけど、うちの子は全然寝てくれないんです・・・・・。」
そんなお悩みを保護者の方々からはよく聞きます。
おそらくここまで本記事を読みすすめて頂いている方の多くは同じお悩みをお持ちではないでしょうか?
そんな方に向けて、良質な睡眠を促すための
・習慣
・環境
・おすすめアイテム
をご紹介します。
寝ようと思ってベッドに入るのに眠れない日が多い方は是非試してみて下さい。
睡眠を促す習慣
朝の散歩
朝日を浴びることで、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が止まります。
その分、幸せホルモンと言われる「セロトニン」の分泌が活性化されます。

日光により分泌されたセロトニン(幸せホルモン)は夜になるとメラトニン(睡眠ホルモン)の原料となります。
セロトニンが分泌される事は、日中は気分よく活動する事が出来るだけでなく、夜のメラトニン分泌を促す事に繋がります。
もし、お子さんが起きるのが遅く、学校に行く時間ギリギリに起きるような習慣が出来ている場合は、見直して見ることをおすすめします。
朝から散歩はハードルが高いという方は、カーテンを開けて、屋内から日光を浴びるだけでも効果があるそうです。
夜のスマホ・ゲームを控える
スマホ、ゲーム機から発せられる光、ブルーライトは覚醒作用があります。
そのため、ブルーライトを浴びる事で睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。
就寝1~2時間前には使用を控える事をおすすめします。
運動や食事、入浴時間は早めに
スムーズに入眠するためには、副交感神経が働いている状態(リラックス)が必要です。
激しい運動が身体・精神ともに興奮状態を作る事は想像に難くないため、就寝前に激しい運動を行っている方はあまりいないと思います。
食事後は食物を消化するため消化器官は働き続けます。
そのため、食事した直後にはスムーズに入眠する事が難しい場合が多いでしょう。
また、自然な眠気を促すのはリラックスしているとともに、体温が下がり始めた時だと言われています。
入浴直後は当然体温が上がるため、直後にはなかなか寝付けません。
運動、食事、入浴。いずれも寝る1.5~2時間前には済ませておくのが良いとでしょう。
寝る時間を一定にする
人間は習慣的な生き物です。
「玄関の鍵閉めたかな・・・?」と思って戻った時の多くはしっかり鍵を閉めていませんか?
それは玄関から出たら鍵を閉める事が習慣となり、無意識に行動しているからです。
睡眠も同じように、寝る時間を一定に保つ事で、
「22時になったら寝る時間だ。」と認識してくれやすくなります。
毎日、忙しく過ごす現代人が全く同じ時間に就寝する事は非常に難しい事ではありますが、出来る限りばらつきがないように布団に入りましょう。
睡眠を促す環境とアイテム
寝具
トップアスリートも盛んにテレビのCMに出演するように、良質な睡眠を確保するためには良質な寝具を準備する必要があります。
最も重要な寝具はマットレスと枕です。
適度な反発力のあるマットレスは眠っている間にしっかりとリカバリーが行われ、朝の目覚めが変わります。
寝具は高価になりがちですが、毎日8時間眠るとしたら、人生の1/3は眠っている事になります。
つまり、人生の1/3はベッド(マットレス、布団)の上で過ごす事になる事を考えるといかに大切かが想像しやすくなります。
良い寝具を準備するのは決して贅沢ではなく、未来への投資と捉えてよいものを購入する事をおすすめします。
数ある商品の中でもおすすめ出来るのは
・大谷翔平(MLB)
・浅田真央(プロフィギュアスケーター)
・錦織圭(テニス)
が愛用しているといわれる”エアウィーブ”です。

エアウィーブをおすすめ出来るポイントは以下の通り
・ファイバー素材で反発力・通気性ともに優秀
・マットレスの上に敷くだけのパッドタイプは比較的安価
・丸洗いできて衛生的(寮や下宿の学生にも◎)
・30日間のお試し期間がある(2025年6月現在)
点です。
枕はマットレス以上に好みが分かれるため選び方は非常に難しいと思います。
選ぶポイントは
①高さ調整できる
②仰向け・横向き両方に対応
③しっかり頭を支えて「無意識の寝返り」を妨げない
などが重要です。
上記条件を満たす枕を以下にご紹介します。
①TEMPUR(テンピュール)

TEMPUR(テンピュール)は、NASAの技術から生まれた、世界的に有名な低反発素材の寝具ブランドです。
枕も、とにかくフィット感が良く、長期間使ってもへたりにくくコスパが高い事で人気のあるメーカーです。
②ヒツジのいらない枕

「ヒツジのいらない枕」は、株式会社太陽(Taiyo)が企画・販売している人気ブランド。2019年のMakuake初登場以来、累計販売500,000個以上を突破しているヒット商品です
高さを細かく調節できるうえに通気性が抜群で、多くのレビューで「熱がこもらずぐっすり寝られる」「朝がすっきり!」と絶賛されております。
枕選びで失敗したくない人にも頼れる一品です。
③BRAIN SLEEP

枕の値段としてはかなり高価ですが、とにかく通気性が良く、特許技術により使うたびにご自身の頭の形にフィットするよう変化する事で快適な眠りを実現する商品です。
丸洗いが可能な事も嬉しいポイントです。
枕にとにかくこだわりたい方は試してみる価値があります。
照明調節アイテム
人間の体は、朝の光で目覚めて、暗さで眠くなるようにできています。
そのため朝、スマホのアラームで無理やり起きるよりも、自然光のように徐々に明るくなる光で起きる方が、体も心もスッキリします。
夜も同じで、部屋をだんだん暗くしていくと、体が「そろそろ寝る時間だな」と感じて自然と眠気が訪れます。
身体が浴びる光を調節する事は睡眠の質を向上させる事につながります。
太陽光を浴びながら目覚めるためには、カーテンを開ける必要があります。
お母さんが子供の部屋にこっそり入り、子供が起きないようにゆっくりカーテンを開けてくれるなら実現出来ますが、お母さんの朝は忙しく、そんな余裕のある家庭は稀でしょう。
そんな時は設定する事で自動でカーテンを開けてくれるデバイスに頼りましょう。
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起床する時と同じく、入眠時も光の量によって自然な眠気が訪れます。
おすすめは、夕食や入浴から眠る時間まで少しづつ明かりを暗くすること。
照明のリモコンボタン1つで行えるかもしれませんが、この作業を毎日手動で行うのとても大変です
そんな手間を省いてくれる商品があります。
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この商品は電球の値段としては高価ですが、あらかじめ照明のスケジュールを設定し自動で明るさを調節してくれる優れものです。
まとめ
バスケットが上手くなるためには当然練習が必要です。
しかし、練習後の休息も大事で、身体の疲れを回復させるための睡眠はとても重要です。
また、体力の回復だけでなく、睡眠不足自体がパフォーマンスの低下を引き起こすことも研究によって示されています。
特に成長期のお子さんには、身長を伸ばす事にもつながるため、十分な睡眠を確保できるように、習慣と環境を整えてあげて下さい。
睡眠と関係性が深い、身長を伸ばすための習慣・方法について触れている記事もありますので、興味のある方は是非チェックしてみて下さい。
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