NBA選手もそうだった 言うことを聞かない子供がバスケで輝く理由

言うことを聞かない問題児ほど面白いバスケ選手になる可能性がある!?

バスケットをプレーする我が子を見ていて

「落ち着きがない」「すぐに違うことを始める」「言うことを聞かない」

そう感じて、不安になったりイライラしてしまうことはありませんか?

筆者は、ミニバスコーチとして活動し、たくさんの子供と日々接しています。

子供の特徴は本当に様々。

当然、上述したようないわゆる「問題児」に見えるような子もたくさんいます。

そんな子供の親御さんはいつも不安そう、又はイライラしながら活動を見守っています。

「言うことを聞かなくてコーチに迷惑をかけていないか心配で・・・」

「〇〇君とまた喧嘩になったみたいで・・・・」

「家でも全然話を聞いてくれないから疲れるんです・・・・」

お気持ちお察しします。

子供の持つエネルギーがすごいだけに、親御さんがヘトヘトに疲れる気持ちはよくわかります。

でも実は、そうした一見「落ち着きがない」、「自己中心的に見える」特徴は、子どもがこれから成長する上での大きな武器になるかもしれません。

バスケットのコート上では、ちょっと変わった性格や突飛な行動力が
“普通の子にはできない発想”を生み出し、チームを救うことがあるのです。

その可能性を示唆する研究が2024年、スペインのセビリア大学で行われたものです。

サンプルサイズ(実験対象者)がやや少ない研究になりますが、

一般知能が高い選手(いわゆる優秀な子?)は戦術状況を把握しやすい一方、独創的な戦術解決策を生み出すのには苦労していたのに対し、
サイコティシズム(衝動性・非協調性・反体制志向)スコアが高い選手は、独創的で型破りな戦術解決策を出す傾向があったそうです。

つまり、“問題児”に見える選手が、後に、”面白いプレーをする選手”へと大きく成長する可能性があると言う事です。

以下で研究の内容を簡単にご紹介します。

この記事を読むことで、問題児だと思う我が子を暖かい目で見守ってあげられるようになるかもしれません。

目次

バスケットの戦術的な判断と性格の関係を調べた研究

以下から、研究の内容をご紹介します。

全部を確認したい方は以下のサイトから確認できます。

↓↓

Carlos Díaz-Rodríguez , Eugenio Pérez-Córdoba .Influence of problem-solving ability and personality variables on the improvement and creativity of tactical decisions in basketball.Front Psychol.2024 Sep 30:15:1450084. doi: 10.3389/fpsyg.2024.1450084. eCollection 2024.

タイトル

Influence of problem-solving ability and personality variables on the improvement and creativity of tactical decisions in basketball
バスケットボールにおける問題解決能力と性格変数が戦術的判断力の向上と創造性に及ぼす影響

目的


バスケットボールの若手選手において、問題解決能力(抽象的思考)や性格特性(特にサイコティシズム)が、戦術的判断力やその創造性の向上にどのように影響するかを調べた。

方法

対象: 16〜17歳の男子ジュニア選手24名

  • 16名: 実験群(戦術知覚トレーニング=PTTを受けた)
  • 8名: コントロール群(通常の練習のみ)

期間と頻度: 13週間の間、実験群は週3回(1回30分)のPTTトレーニングを実施。

測定:実験の最初に以下の①~③の項目を測定。実験終了後に再度測定。

知覚的戦術トレーニング(PTT):
バスケットボールの典型的なシーンを示すスライドを連続表示し、3秒から最終的に2秒まで徐々に表示時間を短縮しながら、戦術状況の把握と解決策を即答させる。

例)

下図のボールを持った選手は、右・左どちらにドライブするべきか?

⇒正解は「右」 。
右にドライブする方がヘルプディフェンスが少ない、もしヘルプが来ても3Pラインで待っている選手に効果的なアシストになる可能性が高い。

Raven進行行列テスト:
一般知能(G因子)を測定し、類推・分析力を評価。

例)

  • 9マスのマトリックス(3×3)で、右下が空欄になっている。
  • 上の行は丸、真ん中は三角、下の行は四角… という規則性を見て、空欄に入る形を推理。

⇒正解は「四角」 です。
こうした“形の法則を見抜く”問題を解くことで、抽象的思考力 を評価。

Eysenck人格質問票(EPQ-R):
神経症傾向、外向性、サイコティシズムを測定。

質問例)

・趣味をたくさんもっていますか?
・本当は自分が悪いのに、人を責めた事がありますか?
・人付き合いより読書が好きですか?
・人と一緒にいる時、黙っている事が多いですか?
・健康に不安を感じますか?

など、約90項目の質問。

結果

PTTを受けた群の選手においては戦術的解決策が有意に向上した。


・Ravenテストで知能が高いと判断された選手は、戦術知覚の正答数が有意に高かった
 ただし、独創的解決策の数とは強く関連しなかった。

サイコシティズムが高い、かつ、抽象的思考力が高い選手は、独創的かつ新規性の高い戦術的解決策を多く生み出す傾向があった。

結論

・PTTトレーニングは、戦術知覚を伸ばすのに効果的。

知能とサイコティシズムが戦術的意思決定と創造性に影響を与える可能性がある。

知能が高いだけでは創造的解決策は生まれにくく、実践的経験や知識が不可欠。

また、サイコシティズム(衝動性や非協調性)だけ突出しても、戦術的意思決定が向上しないが、知能の高さを伴う事で、型破りで創造的な発想を促す可能性がある。

筆者の考察

以上が論文の内容でした。

「落ち着きがない」「すぐに違うことを始める」「言うことを聞かない」

一見すると、”問題行動”に思えてしまいますが、こういった特徴はバスケットのような自由度の高いオープンスポーツにおいては有利に働く場合もあります。

将来、大きな花が開く事を信じて、その子の特徴として見守ってあげる事が大事だと思います。

ただし、この研究の結果を見るからわかる事実として

1️⃣ 知能(Ravenスコア)だけが高い選手 →

  • 試合状況を的確に読み取る 戦術知覚 は向上しやすい
  • 独創的な(型破りな)解決策 を出せるとは限らない。

2️⃣ サイコシティズムだけが高い選手 →

  • 衝動性・反体制性があって、型破りなアイディアを出す素質はある。
  • 一方、 試合状況を把握する力(知覚)が弱いと、そもそも状況を正しく理解できない。

3️⃣ 知能が高くて、かつサイコシティズムも高い選手 →

  • 試合状況を正しく把握できる(知能の力)。
  • その上で、常識にとらわれない型破りな解決策を思いつける(サイコシティズムの力)。
  • 結果として、最も独創的な戦術的解決策を生み出せる。

つまり、独創的なプレーをするためには、サイコシティズムをもっているだけでは花開く可能性は低いということです。

その子が持っている特徴を見守りながらも、知能も高める事が必要です。

ここでいう知能とは、机に向かって教科書の内容を覚えるようなものではなく、

・抽象的思考力

・アナロジー(類推力)

・パターン認識力

・視覚的な論理的推論力

などを指します。

これらの能力を鍛えるにはとにかく「遊ぶ」事が重要だと筆者は思います。

その理由を解説し、具体的な方法やおすすめの道具などを紹介した記事もあります。

お子さんの知能を育てたい方は是非確認してみて下さい。

↓↓

>>【バスケ】センスがある子の秘密 バスケ選手に必要な”AIQ”とは?

NBA選手も子供時代は問題児だった!?!?

「見守る事が大事な事はわかった。けど、心配でついついいらいらいしてしまう・・・。」

そんな親御さんに届けたい話は、今ではNBAスターとして活躍する選手達の問題児エピソードです。

飛び抜けた才能を持つNBA選手達が幼少期には手の付けられない問題児だった・・・。

そんな話は決して珍しい話ではないようです。

そんなスター選手達のスケールの大きい問題児ぶりを認識すると、我が子の問題がかわいく思えてしまうかもしれません。

ジャ・モラント(Ja Morant)

  • どんな選手?
    メンフィス・グリズリーズのスターPG。圧倒的な身体能力を誇り、河村勇輝選手とチームメイトになったことで日本での認知度が急上昇した選手。
  • 子供時代:
    小さい頃からものすごくエネルギッシュで、家の中でじっとしていられず、父親が庭にバスケットゴールを設置してもなお、家の家具を壊しまくったとよく言われているそう。
  • 問題児エピソード:
    高校時代はそのエネルギーをコントロールできず、チーム練習で衝突したり、自己流のプレーで怒られたりしたが、その自由さが“ありえないトリッキーな動き”につながり、スカウトの目に留まった。

アンソニー・エドワーズ(Anthony Edwards)

  • どんな選手?
    ミネソタ・ティンバーウルブズの若きエースSG。爆発的な得点力で注目されている。
  • 子供時代:
    幼い頃から型破りで、「チームの言うことを聞かず自分の思うように攻める」というプレースタイルで、コーチにしばしば叱られていた。
  • 問題児エピソード:
    「自分はNBAに行くから勉強は後回しでいい」と公言して先生に怒られたことも。でもその自己流の自信がプロでも通用し、“型にはまらない”プレーの原動力になっている。

ルカ・ドンチッチ(Luka Dončić)

  • どんな選手?
    ダラス・マーベリックスの司令塔。20歳そこそこでリーグの顔になった。
  • 子供時代:
    子供の頃から“コーチ泣かせ”で、年上相手に無茶をして怒られることもしばしば。
  • 問題児エピソード:
    練習メニューを途中で自分で変える、作戦を無視してパスを通すなど、少年時代からの型破りエピソードがある。でもその“言うことを聞かない独創性”が、大人顔負けのゲームメイク力につながった。

ジョエル・エンビード(Joel Embiid)

  • どんな選手?
    フィラデルフィア・76ersのセンター。2023年MVP。
  • 子供時代:
    カメルーン出身で、本格的にバスケを始めたのは15歳。若い頃は練習が嫌いでさぼりがち。「指示に従わない」「走りたくない」とすぐ帰宅してはコーチに怒られていたが、体の大きさと型破りな器用さが評価され、才能を開花させた。

まとめ

本記事で紹介した研究によると、

知能が高くて、かつサイコシティズムも高い選手は

  • 試合状況を正しく把握できる(知能の力)。
  • その上で、常識にとらわれない型破りな解決策を思いつける(サイコシティズムの力)。
  • 結果として、最も独創的な戦術的解決策を生み出せる。

観ていて面白いバスケット選手に成長する可能性を秘めています。

サイコシティズムだけが際立つような子供にならないように、知能を高めるような工夫・遊びを親子で行ってみてはいかがでしょうか?

また、バスケットの能力だけにフォーカスし、問題行動を放置することは、人間関係の大きなトラブルに発展する可能性があります。

大きなトラブルに発展しないよう、親・コーチで教育する事は当然大切です。

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