【バスケ】シュートが入らないのは筋肉不足?科学が教える本当の原因

筋肉をつければシュートは入る?バスケ選手が知るべき意外な真実とは?

「シュートは手ではなく、脚で打つ」

昔からシュート指導でよく聞く言葉です。

その言葉を信じて、脚力を強化するため毎日走り込みをして、きついシャトルランやジャンプトレーニングを限界まで追い込む。

でも、シュートの飛距離が伸びず、いざ試合になるとシュートが決まらない。

もしあなたが同じ経験をしているなら、
『努力の方向』を間違えているかもしれません。

2022年、アメリカ・カンザス大学の研究チームが
上半身及び、下半身の筋力とシュート成功率がどう関係するかを検証したところ

「筋力とシュートの成功率には、ほとんど関係がない」 事がわかったそうです。
(スイスの学術出版社MDPIの査読付き国際誌『Sports』(2022年)に掲載)

つまり、現代の考え方は、シュートに大事なのは、筋力よりも正しいフォーム。

本記事では、筋肉量とシュート成功率が相関しない事を示した研究を紹介するとともに、

シュート成功率を向上させる鍵になる「正しいシュートフォーム」を身につけるおすすめの方法をご紹介します。

目次

筋力とシュート成功率の関係を調べた研究

シュートの確率と筋肉量の関係性を調べた研究をご紹介します。

原文を確認したい方は以下のリンクから

↓↓

Dimitrije Cabarkapa.Relationship between Upper and Lower Body Strength and Basketball Shooting Performance.Sports (Basel)2022 Sep 20;10(10):139. doi: 10.3390/sports10100139.

タイトル

Relationship between Upper and Lower Body Strength and Basketball Shooting Performance
(上半身と下半身の筋力とバスケットボールのシュートパフォーマンスの関係)

以下では、論文の大事なポイントを要約し、その後、筆者の考察をお伝えしていきます。

はじめに

バスケットボールは世界的に人気の高いスポーツであり、得点する唯一の方法はボールをリングに通すことです。

得点方法はフリースロー、2ポイント、3ポイントシュートがあり、試合の勝敗を左右する重要なスキルとして科学的にも多く報告されています。

そのため、ポジションやレベルに関係なく、選手は高いシュート精度を身につける必要があります。

コート上の要求に対応するために、選手は筋力、パワー、スピード、敏捷性、無酸素性および有酸素性能力など、様々な身体的能力を備えている必要があります。

最近の研究では、下半身の筋力とパワーが高いほど、大学卒業後のプロ選手としての活躍の可能性が高いことが示されています。

しかし、勝敗を分ける重要なスキルであるシュート能力と筋力の関係については、これまで科学的に十分に研究されていません。

したがって、本研究の目的は、最大の上半身および下半身の筋力と、フリースロー、2ポイント、3ポイントシュートの正確性との関係を調べることです。

参加者と方法

参加者:10名の男性(平均身長182.6cm、体重79.2kg、年齢25.6歳、競技歴9.5年)と7名の女性(平均身長174.5cm、体重74.7kg、年齢24.4歳、競技歴9.1年)が参加。

参加条件としては、高校、大学、またはプロレベルでの競技経験があり、週2回以上のバスケトレーニングと2年以上の筋力トレーニング経験があることなどが含まれた。

方法:1回目の調査で、ウォームアップ後に15本ずつのフリースロー、2ポイント、3ポイントシュートを実施。

その後、ベンチプレスとバックスクワットの1RMテストを実施。

フリースロー及び、2ポイントシュートの成功率50%以上、かつ3ポイントシュート成功率が30%以上だった参加者のみが2回目の本調査に進んだ。

2回目の調査では、ウォームアップ後に15本ずつのフリースロー、2ポイント、3ポイントシュートを実施。

これを30分の休憩を挟んで5セット繰り返した。

1回目の調査と2回目の調査の間は3〜7日間をあけて実施された。

2回目に行ったシュートテストの結果と、筋力テスト(1RMテスト)に相関があるかを確認した。

結果

男性の平均フリースロー成功率は74.5%、2ポイントは68.4%、3ポイントは53.3%。女性はそれぞれ79.2%、65.5%、51.2%だった。

男性の平均ベンチプレス1RMは88.2kg、スクワット1RMは117.0kg、女性は40.6kg、66.9kg。

分析の結果、男性・女性ともにベンチプレスおよびバックスクワットの1RMとシュート精度の間に有意な相関は認められなかった。

考察

本研究は、上半身および下半身の筋力とシュートパフォーマンスの間に有意な関連がないことを明らかにしました。

スクワットやベンチプレスの筋力はコート上の他のパフォーマンス(ジャンプ力や敏捷性など)とは関係がありますが、シュート精度との直接的な関連性は示されませんでした。

この結果は、被験者がすでにシュートに必要な筋力を十分に備えている可能性があり、フォームや運動力学など他の要素がシュート精度に影響していることを示唆しています。

したがって、コーチングではフォーム改善や適切なキネマティクスが重要であると考えられます。

筆者の考察


大規模な調査ではありませんが、研究により、ある程度の筋力があればそれ以上はシュートの成功率に影響しない事が示されました。

正直、筆者も以前は脚の力が強いほど、楽にボールを飛ばせるのでシュートは安定するものだと考えていたので、初めて知った時は驚きました。

では、脚の力も腕の力も成功率に関係ないのであれば、とにかく練習するしかないのでしょうか?

それとも生まれ持ったシュートセンスは改善出来ないものでしょうか?

そんな事はないはずです。

正しく、自然なフォームでシュートを行う事が出来れば、飛距離も成功率も高まります。

筆者が知る限り、日本で最もわかりやすくシュート指導を行い、結果を出しているのが今倉定男氏です。

今倉氏が提唱する「ナチュラルパーフェクトシュート®︎」は世界トップレベルの選手のシュートフォームを徹底的に研究し、従来のフォームとは異なるシュート理論です。

筆者もDVDを購入し勉強しましたが、理学療法士としての目線で見ても、運動学の理に適った指導をされており、とても勉強になりました。

また、「ナチュラルパーフェクトシュート®︎」は小学生、女子選手でも実践可能で、主観的な感想になりますが、筆者の息子(小学校5年生)は理論を勉強し、練習を初めてから2週間ほどで、飛距離もシュート成功率も向上しました。

購入はAmazon・楽天でも可能ですので気になる方はぜひチェックしてみて下さい。

↓↓

また、別の記事では、

・女子でもワンハンドシュートを行うべき理由

・なぜ「ナチュラルパーフェクトシュート®︎」が有効か?

を解説しています。

さらに詳しく知りたい方は以下のリンクから確認してみて下さい。

↓↓

>>【バスケ】女子でもワンハンドが世界基準?3Pシュートの飛距離を伸ばす理論とは?

本当にシュートに筋力は必要ないのか??

研究ではシュートの成功率と筋力に相関がない事が示されました。

昔から、競技力向上を目指して筋トレをする事に対してネガティブな方は私の周りにもいました。

「競技に必要な筋力は競技練習をしているうちにつくから筋トレは無駄。」

「筋トレして体が重たくなると速く動けなくなるから実施すべきじゃない。」

「ボディービルダーは足が速くないでしょ?だから鍛えてつけた筋肉はただの見せ筋だ。」


こんな具合です。

確かに研究結果から考えると上記のように主張したくなる気持ちはわかります。

しかし、矛盾する主張のように感じるかもしれませんが、筆者はアスリートに筋力トレーニングは絶対に必要だと考えています。

シュートは届かないと絶対に入らない

筆者が筋力トレーニングを必要だと思う理由の1つ目は、

シュートに必要な最低限の筋力は必要だから」です。

紹介した研究の対象者を改めて確認すると、

・10名の男性(平均身長182.6cm、体重79.2kg、年齢25.6歳、競技歴9.5年)

・7名の女性(平均身長174.5cm、体重74.7kg、年齢24.4歳、競技歴9.1年)

全身の筋力量がピークを迎えるであろう20代半ば、かつ、体格も日本人より大きな欧米人が対象者です。

つまりこの研究の対象者は、シュートに必要な筋力は全員が十分に有している可能性が高く、身体が出来上がっていない小学生・中学生も同じように「筋力は必要はない」と考えるのは危険です。

以下のような所見が見られるような選手はシュートに必要な筋力が不足している可能性があります。

・腕立て伏せが出来ない

・片足で立っていられない

・腹筋運動が出来ない

・よく転ぶ

・徒競走をするといつも最下位争いをする

・姿勢が悪い

・BMIが低値(痩せ型)


シュートを届かせるために必要な筋力が不足している場合には積極的に筋トレを取り入れましょう。
(小学生でも自重で負荷をかける程度の筋トレは必要です。)

シュート飛距離向上におすすめの筋力トレーニングは「デッドリフト」です。

なぜ、デッドリフトがおすすめなのか?
正しい方法はどのようにすると良いかを解説した記事もありますので、上述した特徴に当てはまる方は確認してみて下さい。

↓↓

【バスケ】シュートの飛距離を王道トレーニングで伸ばす!!

シュートを放つまでの過程は筋力向上で改善される

ある程度、筋力のある選手の場合、筋力・シュートの成功率は相関しないかもしれません。

が、どのカテゴリーの選手でも、筋力がある事でシュートを決めるための過程は向上すると筆者は考えています。

たとえば、下半身の筋力が強化されることで、ディフェンスを振り切ってフリーになるための初速やステップワーク、方向転換のスムーズさが向上します。

結果として、より高確率で「ノーマークで打てる状況」を作れるようになります。

また、上半身の筋力がつくことで、ゴール下でのフィジカルコンタクトに負けなくなり、バランスを崩さずに打てるシュートの精度が上がるといったメリットもあります。

つまり、筋力トレーニングは「直接的に入るようにする」のではなく、「入る状況を作る/安定して打てる状態を維持する」ために不可欠です。

筋トレに限った話ではありませんが、「何のために行うのか?」を明確にし、実施する筋トレは、結果的にシュート率を向上させる事につながるはずです。

「筋力があれば全部入る」は間違い。

でも、「筋力があるとシュートが入る場面を作れる」ことにつながります。

まとめ

・上・下肢の筋力はシュートの成功率と相関関係にない事が近年の研究で示されている。

・ある程度の筋力を有する選手は筋力よりも正しいシュートフォームを身につける事が成功率向上につながる。

・筋力はシュート成功率と相関がなくても、走力・ジャンプ力の向上など、パフォーマンスupには必要。

今回紹介した研究からわかったのは、筋力の大きさがそのままシュート成功率に直結するわけではないという事実です。

これは筆者にとっても意外でした。


もちろん筋トレは、動き出しの速さや当たり負けしない体づくりに欠かせません。


しかし、バスケットで得点が入るのはシュートが決まった時だけです。

どんなに速く走れ、高く跳べてもシュートが決まらないと試合に勝つことは出来ません。

バスケットにおいて最も重要だと言っても過言ではないのがシュートのスキルです。

昔から日本でのシューティング指導は、「人それぞれ打ちやすいフォームは違うから」という理由で、細かい指導を受けない選手がほとんどです。

しかし、近年では、世界トップクラスのシューターにはシュート共通フォームにいくつかの共通点が存在します。

その共通点を理解・実践する事でシュートの飛距離や正確性を向上させる事が可能と言われています。


正しいシュートフォームの習得は自己流では難しく、間違ったクセがつけば修正に時間がかかります。

若い選手、特に筋力の乏しい女子選手やミニバス選手には、今倉氏が提唱する「ナチュラルパーフェクトシュート®︎」を一度勉強する事をおすすめします。

↓↓

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次