団体競技であるバスケットボールは、様々な事が学べます。
・仲間と協力する楽しさ、難しさ
・団体で行動する時の心得
・みんなで勝利する喜び
多くの事を学ぶ事ができます。
しかし、小学生年代は身体発達の状況や競技の経験年数の違いから個々人のレベルにばらつきが大きくく、それが元となりトラブルになる事もあります。
「おれ、もっと試合で勝ちたいから違うチームでプレーしたい・・・」
お子さんからこんな風に相談されたらどんな対応をするべきでしょうか?
この記事を読んでいる方は、おそらくこの問題に悩んでおり読んでくれているのではないでしょうか?
筆者は普段からミニバスコーチとして活動しています。
残念ながら私の関わっているチームでも移籍をした選手がいます。
当時、移籍を迷っている、決まった選手とどんなコミュニケーションを取るべきかにすごく悩みました。
この記事では、当時の筆者が考えた事を保護者の方向けにまとめ、
移籍するにあたってどんな事を考え、行動するべきか?に関してまとめてみました。
ポイントは以下の通りです。
・問題解決のための努力は行なったか?を再考する
・移籍先のチームの方針を把握しているか?
・直前に迫っている大会はないか?
・中学生になった時、進学予定の公立中学以外にバスケットをする環境があるか?
日本バスケットボール協会(JBA)の移籍に対する見解
日本バスケットボール協会(以下、JBA)は、U12年代の選手が他チームへ移籍する事に対する見解を2019年2月に示しています。
以下、引用です。
以下 2 点の主な事情を踏まえ、U12 カテゴリー部会では登録および移籍について検討を重ね、時代背景や環境に即した規程とするための改定案をまとめました。
1.少子化の影響
【課題点】 単一校・単一チームや、近隣校で合体したチームでは選手を集めることが難しくなっている、等
【改定後】 一定の条件の下での登録の自由を容認し、希望するチームへの加入を可能とする。
※U12 カテゴリー登録運用細則を定める。
2.移籍ができないことの問題
【課題点】 暴⾔・暴⼒・人間関係等のトラブルなどの問題があっても、移籍が制限されていたため、我慢して続けるかバスケットボールを辞めるかのどちらかしかなかった、等
【改定後】 特別な事情があれば、チーム間の移籍を認める。
※U12 カテゴリー移籍運用細則を定める。
注)今回の変更は、特別な事情がある選⼿の移籍を認めるもので、この規程を悪⽤して強化目的や勝利至上主義のもとに移籍することを促すものではありません。
少子化によりチームに必要な人数を確保するのが難しくなっていること。
暴言・暴力、人間関係のトラブルを我慢し続ける事を問題視し、プレーするチームを自分で選択する事をある程度容認しています。
しかし、最後の文にあるように「勝利至上主義」のもと移籍する事に関してはJBAも否定的です。
子供は素直で自分の気持ちに正直です。
一生懸命やっている子ほど「勝ちたい!!」の気持ちが強くなるのは当然の事。
ただ、勝つためだけに強いチームに移籍するのはJBAにも推奨されていない事は大人が把握しておかなくてはいけません。
問題解決のための努力は行なったか?を再考する
前述したように「勝利」だけを求めて移籍する事は推奨されていません。
しかし、移籍したいと思っている子は、
・周りの子達と反りが合わずケンカが絶えない
・意識の違いからいつもイライラしている
・コーチの指導に不満を持つ
など、人間関係のトラブルが少なからず発生します。
これらの人間関係のトラブルにより、健全な活動が行えなくなっている場合は正当な移籍理由に該当すると思います。
ただ、団体行動、社会活動には他人とのトラブルがつきものです。
自分と意見が合わない人とも折り合いをつけて、上手く修正する能力を育てる事も必要であると筆者は考えています。
様々なトラブルへの解決方法のおすすめをまとめた記事もありますので参考にしてみて下さい。
↓↓
>>ミニバス少年団で子供がいじめに遭ったら?保護者はどう対応する?
移籍先のチームの方針を把握しているか?
問題の解決に取り組んでも改善できなかった場合に移籍を考える事になります。
JBAによると「U-15普及の趣旨から、所属を希望する選手の受け入れを断る事は原則しないように」とありますが、
同じ少年団チームでも指導方針は様々です。
筆者の地域のチームにも
・勝利を優先し能力のある選手はどんどん受け入れる。
・特別な事情がある場合を除いて基本的には移籍は否定的
・臨機応変に対応する
断る権利がチームにないとはいえ、あまりいい顔されず所属するのは避けたいものです。
まずは、移籍予定のチームの移籍に対する考え方を確認するようにしましょう。
また、無条件で受け入れを行うチームは少なく、仕方ない事情があるかどうかを確認されます。
以下のような質問にははっきりと答えられるように準備をしておいた方がよいでしょう。
・チーム内でどんなトラブルがあったか?
・移籍する事でトラブルが改善できそうか?
・所属チームには移籍の意思がある事を伝えているか?また、了承を得ているか?
・練習、試合の送迎、保護者の手伝いはしっかりと行う事が可能か?
直前に迫っている大会はないか?
移籍したチームで試合に出場するためには正式な手続きを終えている必要があります。
手続きは2週間程度で完了しますが、間に合ったとしても、公式戦の直前に移籍を行うのはおすすめできません。
大会前は、
・大会参加の手続き
・組み合わせ、日程の確認
・対戦チームの情報確認と対策
などコーチやチーム運営を行う役員も大忙しです。
これに移籍手続きが加わってしまうと、お互いのチームともに大変です。
大きな大会に急いで間に合わせようとするのはおすすめ出来ません。
余裕をもって準備するようにしましょう。
中学生になった時、進学予定の公立中学以外にバスケットをする環境があるか?
移籍する事で、健全なミニバス活動が可能になる場合はJBAも移籍を容認しています。
しかし、バスケットを長く続ける予定の選手の場合は、中学生になってからのプレー環境も想像しておかなくてはいけません。
中学生でプレーする環境は以下の場合が多いと思います。
・学区内の公立中学校の部活
・学区外の公立中学校の部活
・私立中学校の部活
・クラブチーム
・Bリーグユース
「学区内の公立中学校」に進学し部活として継続する場合は、
元々在籍していたチームの子達と一緒にプレーする可能性が高くなります。
ケンカ別れで移籍した場合は出来れば避けたい選択です。
クラブチームやBリーグユースはトライアウトなどがある場合もあり、必ず入れるとは限りません。
住んでいる地域に公立中学校以外の選択がどの程度あり、親はサポート可能か?子供が無理なく学業と両立できるのか?などを事前に考えておく必要があります。
具体的な移籍申請手続き
最後に移籍する事を決断した後の具体的な手続き方法をご紹介します。
①U-12移籍申請書を入手し必要事項を記入
JBA公式サイトより入手する事が可能です。
②移籍元チームの承諾を得る
移籍申請書の必要事項に、元チーム代表者の押印が必要な欄があります。
③移籍を希望するチームの承諾を得る
移籍申請書の必要事項に、移籍希望チーム代表者の押印が必要な欄があります。
④移籍先チームの登録担当者へ移籍申請書を提出
必要事項を全て記入、押印したものをデータ化し、移籍先チームの登録責任者に提出します。
まとめ
移籍を検討する際のポイントは
・問題解決のための努力は行なったか?を再考する
・移籍先のチームの方針を把握しているか?
・直前に迫っている大会はないか?
・中学生になった時、進学予定の公立中学以外にバスケットをする環境があるか?
です。
子供がは、伸び伸びとバスケットをプレーし、楽しむ事で成長します。
移籍はその手段の一つになり得ます。
以上の項目を検討しても移籍した方が、子供にとってプラスになると判断した場合は移籍すべきだと思います。
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