膝蓋腱炎・オスグットの治し方|ゼラチン・コラーゲン・ビタミンCで腱を強くする
「ジャンプするとオスグットの痛みがあり、高く跳べない・・」
「たくさん走るといつもアキレス腱がズキッと鋭く痛む・・」
成長期のお子さんやスポーツを頑張る選手の多くが、こうした痛みに悩まされています。
成長期は骨がどんどん伸びるのに、腱や靭帯は追いつけず、激しい練習の負荷で痛みが慢性化しがちです。
「いつか治る」と思っていても、無理をすると長引き、痛みにより、大好きなスポーツを思い切りできなくなる子も少なくありません。
筆者は理学療法士として10年以上、整形外科クリニックの現場でそんな選手を見てきました。
上述したような痛みは、靭帯の断裂・明らかな骨折などと違い、復帰までの期間が曖昧になりやすいです。
そのため、お医者さんからも
「痛みが引くまでは休もうね。」と指導される事が多いのが現状。
「いつまで休まないといけないんだろう・・」
「1か月後の大会は間に合うのだろうか・・」
「休んで下手になってしまわないか心配・・」
競技を休止する事に関しては、そんな不安を抱える選手が大半でしょう。
でも、もし “休むだけ” じゃなく、
痛みのもとになる「腱や靭帯の弱さ」を内側からケアできる方法があるとしたら?
実は最新のスポーツ栄養研究で、ゼラチン(コラーゲンの材料)とビタミンC を運動前にとることで
腱や靭帯を構成するコラーゲン合成が増える事が明らかになっています。
つまり、普段の食事だけでは不足しがちな「ゼラチン」と「ビタミンC」を効率よくとることで、
成長期の痛みを引き起こす腱の修復力をサポートする事が期待できます。
本記事では、実際の研究内容のご紹介と、おすすめの摂取方法までご紹介します。
「成長期で身体がどんどん大きくなってるいる。成長痛が心配・・・」
「強いチームだから練習が激しくて心配。いつもどこか痛そうだけど大丈夫だろうか・・」
こんな悩みをお持ちの方には必見の内容になっています。
腱の構造はどうなっている?
痛みを引き起こす代表的な腱は膝蓋腱とアキレス腱です。

上記イラストの
・白い部分→腱
・赤い部分→筋肉
腱は筋肉と骨をつなぐ“ロープ”のようなものです。
私たちの体は、筋肉が縮んだり伸びたりして力を出しますが、その力を骨に伝えて体を動かす役目をしているのが「腱」です。
たとえば、ジャンプするときは太ももの筋肉の力を「膝のお皿(膝蓋骨)」を通して、すねの骨に伝えます。このときに使われるのが「膝蓋腱」です。
腱はとても強い繊維でできていて、ロープのように体を支えていますが、使いすぎると痛んだり、切れたりすることがあります。
つまり、毎日のように練習で負荷をかけることで痛みが発生します。
本記事の目的は、この腱を栄養によって強化する事です。
腱は「コラーゲン」によって構成されるため、コラーゲンを強化する事がポイントになります。
ゼラチンとビタミンC摂取をおすすする理由
腱を構成するコラーゲンを強化する事は、痛みを予防する事につながります。
記事冒頭にもあったように、コラーゲンを強化するためには、「ゼラチン」と「ビタミンC」を摂取する事が大切です。
その根拠を示す研究内容をご紹介します。
↓↓
「Vitamin C–enriched gelatin supplementation before intermittent activity augments collagen synthesis」
(断続的な活動の前にビタミンC強化ゼラチンを補給すると、コラーゲンの合成が促進される)
実際にこの研究では、ゼラチンをビタミンCと一緒にとってから縄跳びをするだけで、
血中のコラーゲン合成マーカーが2倍にアップしたと結論づけています。
以下から、大事な部分を要約していきます。
背景と目的
背景:スポーツでの怪我の50%以上が捻挫、筋挫傷、断裂、骨折などに分類されます。
コラーゲン合成を促進し、組織を強化できる栄養・運動介入は、スポーツでの損傷率に大きく影響する可能性があります。
目的:ゼラチン補給がコラーゲン合成を促進するかを確認すること。
方法
健康な男性8名がランダム化二重盲検クロスオーバー試験を実施。
被験者は5gまたは15gのビタミンC強化ゼラチン、またはプラセボを摂取。
最初の摂取後、30分ごとに血液を採取し、アミノ酸濃度を分析。
さらに摂取1時間後、6分間の縄跳びを行いコラーゲン合成を刺激した。
このパターンを1日3回、最低6時間の間隔をあけて3日間繰り返しました。
血液は運動前および4、24、48、72時間後に採取し、I型コラーゲンのアミノ末端プロペプチド(PINP)を測定。
結果
コラーゲンに多く含まれるアミノ酸は、ゼラチンの摂取量が多いほど、用量依存的に増加した。
6分間の縄跳びを6時間以上の間隔を空けて繰り返した結果、プラセボ群(53.9%増加)および5g群(59.2%増加)でもPINPが増加しました
しかし、15gゼラチン群では、PINPがさらに有意に増加し(153%増加、p < 0.05)、この効果は72時間の全期間にわたって維持された。
考察
今回のデータは、「15gのゼラチンを摂取して1時間後に運動することで、運動後のコラーゲン合成が最大化される」 という仮説を強く支持しています。
プラセボ群と比較して15gゼラチン群では、運動後4時間のPINP濃度が明確に高くなっていました。
また、運動が腱内のコラーゲン合成とPINPを増加させることは知られていますが、今回のPINPの増加は主に 骨の代謝 を反映していると考えられます。
骨組織は腱と同様に、短時間の運動を長い休息を挟んで繰り返すことで活性化されます。
したがって、今回のような短時間の高負荷運動は 骨のコラーゲン合成も促進した と考えられます。
結論
今回の報告は、ゼラチンの補給がヒトの運動後のコラーゲン合成を増強する ことを示したものです。
コラーゲン合成の増加は、最初の運動後4時間(ゼラチン摂取後5時間)という早い段階で確認され、その効果は72時間持続しました。
これらのデータは、ゼラチンとビタミンCを間欠的運動プログラムに取り入れることが、損傷予防や組織修復に有益である可能性 を示唆しています。
筆者の考察
以上が研究の内容でした。
ゼラチンとビタミンC摂取が大事な事は示されていましたが、まだ疑問の残る方もいると思います。
「コラーゲンが増える事はわかったけど、本当に痛みと関連しているのか?」
と気になる方も多いかもしれません。
そんな疑問を解決するヒントになる研究もあります。
↓↓
詳しい解説は省略しますが、この研究では膝蓋腱の痛みを抱えたNBA選手を対象に
・ゼラチン15g
・ビタミンC約225mg
をトレーニング前に摂取する事で
・痛みと圧痛が減少
・MRI上での所見が消失
・腱中央部の厚み増加
が確認されたそうです。
激しいジャンプ、着地を繰り返すバスケットボールにおいては、筋肉の増量だけでなく、負荷のかかる組織である腱の強化は必要だと考えます。
紹介した2つの研究ではゼラチンを15g摂取する事を推奨していましたが、これはかなりの量です。
後述しますが、一般的な手作りのフルーツゼリーは3個分。
サプリとして摂取するのであれば推奨量の3~4日分に相当します。
しかし、紹介した研究はいずれも成人男性を対象にした研究でした。
1つ目の研究の対象者の平均体重は79.6±12kg。
2つ目の研究対象者は具体的な数字は記載ありませんが、NBA選手であることから、いずれも身体が大きい選手を対象としています。
そのため、成長期・子共を対象に実施する場合の必要量は15g以下になると考えられます。
具体的な目安は難しいですが、体重と一般的に推奨される量を考えると
5g~8g程度が妥当なのではないかと筆者は思います。
以下ではその量を摂取する事を目標として具体的な実践方法を考えていきます。
具体的な実践方法
ゼラチン、ビタミンCを同時に摂取するのに最も適した食品はフルーツゼリーになると思います。

普段のスナック菓子やチョコレートをフルーツゼリーに置き換えるだけである程度の効果は見込めるかもしれません。
ただし、市販のゼリーは必ずしも「ゼラチンだけで固めている」とは限らず、
・寒天
・ペクチン
・増粘多糖類(カラギーナンなど)
など他のゲル化剤が使われていることもあるそうです。
そのため「コラーゲン」補給としての効果を狙うなら、市販ゼリーだけでは不十分かもしれません 。
また、ゼラチン量を多く摂取するために、2~3個のゼリーを1日で摂取してしまうと、糖質過多、人工甘味料の過剰摂取などのリスクもあります。
そこでおすすめしたいのが手作りゼリーorコラーゲンドリンクです。
手作りゼリー
手間はかかりますが、手作りする事で
・ゼラチン量をコントロール
・添加物を含まない
腱強化のためのおやつが出来上がります。
ビタミンCを多く含む
・オレンジジュース
・グレープフルーツジュース
が手軽で効果が期待できます。
必要な材料はオレンジジュースと粉ゼラチンのたった2つです。
作り方も難しくないので気になった方は、材料を購入して作ってみて下さい。
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コラーゲンドリンク
「手作りは考えただけで続かなさそう・・・」
そんな風に思う方も当然いると思います。
そんな方におすすめなのは、ゼリーのように固めないコラーゲンジュースです。
コラーゲンの最小単位であるコラーゲンペプチドのサプリを使用する事でゼリーのように固まるのを待つ必要なく摂取する事が可能になります。
下記のようなサプリメントであれば、オレンジジュースに混ぜるだけで摂取可能です。



まとめ
「スポーツに必要な栄養」と言われると、エネルギー源である炭水化物と身体を作るタンパク質。
この2つだけを思い浮かべがちです。
しかし、成長期に多発する腱・骨の障害を予防、治療するために必要な栄養はゼラチンとビタミンCです。
「休みなんていらないから毎日練習を頑張りたい!!」
「今以上に練習をたくさんして試合で活躍したい!!」
そんな向上心の高い選手ほど、頑張り過ぎて小さな障害・痛みを抱えたままプレーしがちです。
痛みによりプレー出来ない期間を作らないためにも、普段のスナック菓子を手作りゼリーに変更することから始めてみてはいかがでしょうか?
ゼラチン+ビタミンCを摂取しても改善がない場合は以下の記事もチェックする事をおすすめします。
①足首が硬くしゃがめない場合
↓↓
>>膝の痛みの原因は足首の硬さ!?バスケ選手が足首を柔らかくすべき理由

②チームでの練習量が明らかに多い場合
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>>【ミニバス】これって練習のしすぎ?頻度はどれくらいが適切?対策は?

最終更新日:2025年8月18日
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