バスケのセンスは遊びで育つ!親子で楽しくセンスを向上させる方法を紹介
バスケットをやっている、又は、お子さんがやっている方々はこんな事で悩んだ事はないでしょうか??
「足は速いのに、試合で活かされないんだよな・・・」
「ノーマークで打つシュートは練習では高確率で入るのに試合になると・・・」
「下手じゃないけど、ゲーム中の判断がなぜか遅いんだよな・・」
など。
このような悩みは解決の方法が曖昧で、結局・・・「練習するしかない!!」
となりがちです。
しかし、この記事を読めばそんな悩みを解決するヒントが得られるかもしれません。
ポイントは「AIQ」を向上させる事です。
AIQとは、知能の高さを表す「IQ」(Intelligence Quotient)に、運動や体力を表す「A」(Athletic)を加えた言葉です。
単純なIQやよく聞くバスケットIQとも別で、認知機能の高さを表す指標です。
このAIQは近年、NBAのドラフト前に開催されるNBAコンバインでも測定されるそうです。
最近の研究では、NBAコンバインで測定されたAIQの高さが
・NBA選手になれるorなれない
・NBAに入って活躍出来るor出来ない
と相関関係にある事がわかっており、NBAの世界でも重要視されているそうです。
本記事ではAIQの鍛え方やおすすめの方法・道具などをご紹介します。
「能力があるのに、なぜか活躍できない・・・」
そんな悩みをお持ちの方は、記事を最後まで読んで参考にしてみて下さい。
NBAでも使用「AIQ」とは??
AIQ(Athletic Intelligence Quotient)とは、2020年にBowmanらによって提唱され、以下の構成要素を含みます。
1.視覚処理(Visual Spatial Processing)
→ 空間認識や動く対象の追跡能力。試合中のポジショニングやプレーの読みなどに関与。
2.長期記憶と検索(Learning Efficiency)
→ 新しいプレーや戦術の記憶・応用力。コーチの指示を覚えてすぐ実行できる力。
3.反応時間(Reaction Time)
→ 動き出しの速さや、予期しない状況への反応能力。
4.意思決定速度(Decision Making)
→ 素早く適切なプレーを選択する力。パスかシュートかなどの選択を瞬時に行う判断力。
これらのスキルを総合的にスコア化したものがAIQです。
NBA選手はAIQが高い
NBA選手を対象に、AIQと成績の関連を調査した興味深い研究を一部ご紹介します。
↓↓原文を確認したい方は以下から
The Athletic Intelligence Quotient and performance in the National Basketball Association
(アスレチック・インテリジェンス指数(AIQ)とNBAにおけるパフォーマンス)
研究の目的
主な目的は、AIQ)がNBAでの実際のパフォーマンス指標とどのように関連しているかを明らかにすること。
つまり、NBAドラフト前に測定されたAIQスコアが、選手の将来的な成績を予測する力を持つのかどうかを検証すること。
対象
2014年から2019年の間にNBAドラフトの候補となり、NBAコンバインに参加した356名のバスケットボール選手。
方法
・参加した356名の選手は、AIQをドラフト前の評価過程の一環としてAIQを図るテストを受検。
調査① 356名のうち、185名(52%)がNBAの公式試合に最低1試合以上出場していた。これらの選手を「NBA選手群」、それ以外を「非NBA選手群」とした。
⇒NBA選手群と非NBA選手群の間でAIQスコアに統計的な差があるかを検討。
調査② NBA選手群(185名)のNBAでの3年間の成績を追跡して調査。
⇒NBコンバイン時のAIQスコアの違いが、NBAでの今後の活躍に影響する因子になるかを検討。
NBAキャリア最初の3シーズンの平均値とNBAコンバイン時のAIQテストを比較。
結果
①NBA選手群と非NBA選手群の間でAIQの総合スコアとそれぞれのテストのほとんどにおいて有意差が見られた。
(統計的に優位な差がみられた。)
指標 | 結果 |
---|
フルスケールAIQ | NBA選手群の方が有意に高得点(p < .01) |
視覚処理 | NBA選手群の方が有意に高得点(p < .05) |
学習効率 | NBA選手群の方が有意に高得点(p < .05) |
意思決定 | NBA選手群の方が有意に高得点(p < .01) |
反応時間 | 差はあったが統計的には有意でなかった(p > .05) |
②NBAキャリア最初の3シーズンの平均値とNBAコンバイン時のAIQテストの相関は項目によって関連性がみれられた。
関連のみられた項目
指標 | 結果 | 関連するAIQテスト |
---|
PER(選手効率評価) | 有意に関連 (p < 0.05) | 意思決定、学習効率など |
FG%(フィールドゴール成功率) | 有意に関連 (p < 0.05) | 意思決定、学習効率 |
3P%(3ポイント成功率) | 有意に関連 (p < 0.05) | 視覚処理、意思決定 |
TO(ターンオーバー) | 一部で関連あり (p < 0.05) | 意思決定(負の相関) |
AST(アシスト数) | 一部で傾向あり (p < 0.1) | 視覚処理など |
※ただし、効果量は小さく、AIQが占めるパフォーマンスの変動の割合は限定的であることも明らかになった。
(AIQによって説明されるパフォーマンスのばらつきは、比較的小さい)
関連の見られなかった項目
指標 | 結果 |
---|
PTS(得点) | 有意でない(点数はポジションや役割に依存) |
REB(リバウンド) | 有意でない(主に身体的能力が影響) |
STL(スティール) | 有意でない |
BLK(ブロック) | 有意でない |
FT%(フリースロー成功率) | 有意でない(個人の習熟差が大) |
結論
AIQは、NBAでのプレー実績の有無や、パフォーマンス指標と有意に関連していることが本研究で示された。
効果量は小さいながらも、他のスカウティング手法と組み合わせて使用することで、選手のより包括的な評価に寄与する可能性がある。
従来、スカウティングでは試合映像や身体的特徴の評価が中心であったが、今後はAIQのような認知的評価の導入が、選手評価の幅を広げる可能性がある。
このようなツールは、選手の戦術理解力や試合中の判断力、適応力といった側面を補足的に評価する手段として有用であり、スカウト、コーチ、トレーナーにとって貴重な情報源となり得る。
今後の研究では、より大規模なサンプル、より長期の追跡、他の競技やレベルへの応用を通じて、AIQのさらなる検証と実践的活用が期待される。
AIQを向上させるには?
以上が研究論文の内容です。
改めてAIQについて調べると以下のような能力の事を指します。
注意力(Selective Attention) | 周囲の情報から重要なものに集中する力 |
反応速度(Reaction Time) | 合図に素早く反応する力 |
空間認知力(Spatial Awareness) | 自分や他者の位置関係を理解する力 |
ワーキングメモリ(Working Memory) | 複数の情報を短時間で記憶・活用する力 |
意思決定力(Decision Making) | 状況に応じた最適な選択ができる力 |
当然、バスケットの練習を繰り返す事でいずれの能力も向上していきます。
しかし、成長期の選手は心身共に未発達のため、練習のし過ぎによる怪我のリスクや、集中力の欠如による学習効果の低下、燃え尽き症候群などを引き起こす可能性が否めません。
筆者が調べた限り、練習時間の長さと障害発生リスクの関係を調べた研究があり、
1週間あたりの練習時間の合計(本格的なプレーの練習・トレーニング)>年齢
となると、障害発生リスクが増えると結論づけられています。
詳しく確認したい方は以下のリンクから。
↓↓
【ミニバス】これって練習のしすぎ?頻度はどれくらいが適切?対策は?

練習時間をある程度、制限した上でAIQを向上させるためには、なんといっても「遊び時間」を増やす事が重要です。
この「遊び時間」とは動画やテレビの視聴や、熟練して反射レベルで出来る様になったゲームの操作は含みません。
おすすめの遊びは、昔ながらのボードゲームやカードゲームなどです。
ボード・カードゲーム遊びは家族・友達同士でも楽しめて盛り上がリます。
以下では特におすすめのゲームを紹介し、どんな能力を具体的に伸ばす事ができるかを検討します。
スピードカップス(注意力・反応速度)
スピードカップスはシンプルなルールで、小さな子供〜大人まで一緒に楽しむ事が出来ます。
注意力・反応速度を向上するのに役立ちます。
カップを積み上げるため、巧緻性(手の器用さ)の向上も期待出来ます。
小さな子供は特に、出来上がった時のベルを鳴らすのが楽しいようで盛り上がります。
項目 | 評価 |
---|---|
注意力 | |
反応速度 | |
空間認知力 | |
ワーキングメモリ | |
意思決定力 |
おばけキャッチ(注意力・反応速度)
スピードカップス同様、注意力・反応速度の向上が期待出来るゲームです。
タッチするだけのため手の巧緻性向上の面はスピードカップスに劣りますが、視覚的な違いを見つけるためにより注意力が必要になります。
スピードカップスよりやや難易度が高めです。
項目 | 評価 |
---|---|
注意力 | |
反応速度 | |
空間認知力 | |
ワーキングメモリ | |
意思決定力 |
ウボンゴ(空間認知力)
パスを出したり、周りとの関係性を確認するために重要な能力が空間認知力です。
ウボンゴは、図形のはめこみパズルで空間認知力を育てるのに適したゲームです。
時間制限がある事により、ある程度反応速度も必要です。
項目 | 評価 |
---|---|
注意力 | |
反応速度 | |
空間認知力 | |
ワーキングメモリ | |
意思決定力 |
ブロックス(空間認知力・意志決定力)
ブロックスは大人もハマるゲームです。
上記で紹介してきたゲームとは違い、反応速度は必要ありませんが、多数ある選択肢から自分で手を選択するため、意思決定力の向上が狙えます。
空間認知力のトレーニングにも最適です。

項目 | 評価 |
---|---|
注意力 | |
反応速度 | |
空間認知力 | |
ワーキングメモリ | |
意思決定力 |
ナンジャモンジャ(ワーキングメモリ・反応速度)
ワーキングメモリは短期的な記憶の事で、コーチの指示を忘れずに覚えておく、相手のファールをカウントしておくなどに役立つ能力です。
へんてこな名前ですが、ナンジャモンジャはワーキングメモリをすごく使うゲームです。
子供と一緒にプレーすると、子供の豊かな発想に驚く事の連続で面白いゲームです。(大人はかなり疲れます。)
項目 | 評価 |
---|---|
注意力 | |
反応速度 | |
空間認知力 | |
ワーキングメモリ | |
意思決定力 |
ラッシュアワー(空間認知力・ワーキングメモリ・意思決定力)
上述したゲームは全て複数人でプレー出来るゲームでした。
複数人でプレーする事で一体感が生まれ、盛り上がって飽きずに遊べます。
しかし、1人で黙々とプレーするのが得意な子もいるはずです。
そんな子におすすめなのがラッシュアワーです。
1人で行えて、様々な能力を刺激出来ます。
特に空間認知力、ワーキングメモリ、意思決定力を必要とします。

項目 | 評価 |
---|---|
注意力 | |
反応速度 | |
空間認知力 | |
ワーキングメモリ | |
意思決定力 |
認知機能トレーニングの代表格”コグトレ”
AIQ向上に有効なゲームを紹介してきましたが、中にはこのようなゲームを楽しめないお子さんもおり、保護者の方はこんな悩みを抱えている方もいるかもしれません。
・落ち着いてみんなとゲームが出来ない
・説明してもルールがいまいち理解出来ない
・短時間でも座っていられない
・負けると必ず癇癪を起こしてしまう
もしかしたらお子さんは発達障害をお持ちかもしれません。
※程度も人それぞれ、成長に伴い消失などあるため上記に当てはまっても鵜呑みにせず専門家に相談して下さい。
現代では、発達障害が世間一般に認知されてきており、日常生活では大きな支障はないし、スポーツも行える子でも発達障害と診断される場合もあるそうです。
そんなお子さんには専門的に開発されたトレーニングである「コグトレ」に取り組んで頂くことをおすすめします。
コグトレとは、医師である宮口幸治先生が開発し、「認知機能強化トレーニング(Cognitive Training)」の略で、特に発達障害や学習に困難を抱える子どもたちの支援を目的に開発されたトレーニング方法です。
身体を動かしながら行うAIQトレーニング
ここまでご紹介した遊びはAIQを鍛えるのにとても有効です。
しかし、実際のバスケットの動きに活かすためには、自分の体を動かしながら行う事が欠かせません。
以下からは体を動かしながら、AIQを向上させるのに有効なアイテムを紹介します。
リアクションボール
不規則な跳ね方に反応することで、瞬発的な判断や身体反応が求められます。
注意を集中しないとキャッチできないため、集中力・反応速度が鍛えられます。

項目 | 評価 |
---|---|
注意力 | |
反応速度 | |
空間認知力 | |
ワーキングメモリ | |
意思決定力 |
マーカーコーン
ジグザグドリル・反応ダッシュ・色指示など、使い方が多様で、動きと指示の組み合わせによってさまざまな力を刺激できます。
「どの色に行く?」「どの順に動く?」などの選択→行動という流れが、意思決定力・ワーキングメモリに効果。
色や配置の違いに気づく・判断する力がつくため注意力や空間認知力も高められます。

ラダー
ステップワークを正確に行う必要があり、リズム感・認知処理・記憶が関与します。
「パターンを覚える」→「素早く体で再現する」の流れがワーキングメモリの刺激になります。

項目 | 評価 |
---|---|
注意力 | |
反応速度 | |
空間認知力 | |
ワーキングメモリ | |
意思決定力 |
BOSU
バランス保持に全身の空間認知力が使われ、体の位置感覚が強化されます。
姿勢保持中の指示反応や動作追加で、意思決定や注意力も養えます。

項目 | 評価 |
---|---|
注意力 | |
反応速度 | |
空間認知力 | |
ワーキングメモリ | |
意思決定力 |
まとめ
バスケットボールはダッシュ、ジャンプなど激しい動きが多く、体力の高さが勝敗に直結しやすい競技です。
しかし、世界最高峰のバスケットリーグNBAでも、身体能力だけで成績が決まる訳ではないことが研究により判明し、AIQの重要性が謳われるようになってきています。
AIQを高める最も身近な方法はとにかく「遊ぶ」事が重要です。
「プロになりたいなら、遊んでいる暇なんてないでしょ?」
「バスケットの事だけ考えて生活しなさい」
「ゲームじゃなくてお父さんと1on1の練習しよう!」
一生懸命な親御さんほど、このような声掛けになりがちではないでしょうか?
もちろんお子さんのレベルupを親が支援する事は大切です。
しかし、遊びを通してAIQの向上、心身をリフレッシュ、家族のコミュニケーションをとる事は後に大成するのに必要な事だと筆者は思います。
是非、お子さんが興味を持ちそうな物を準備して,家族で楽しみながらレベルupを目指してみて下さい。
(本日、紹介した商品まとめ)
↓↓
・ウボンゴ
・コグトレ
・ラダー
・BOSU
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