バスケットに限らず、スポーツの試合当日は緊張します。
「いつも通りプレー出来るだろうか?」
「相手は強いのだろうか?」
「勝てなかったらどうしよう・・・」
試合当日はこんな不安との戦いから始まります。
また、その不安は選手だけではないでしょう。
最も身近で選手を支える保護者の方も同様に緊張するのではないでしょうか?
「怪我せずにプレー出来るだろうか?」
「忘れものは大丈夫だろうか?」
「何を食べたら全力を尽くせるだろうか?」
保護者は選手の力を信じて見守る事しかできません。
が、1つだけ力になれる事が食事の準備だと筆者は思います。
筆者の息子はミニバスを行っており、試合にも出場します。
妻が食事の大半を準備してくれますが、妻はバスケット未経験で、食事に対する知識も深くありません。
・「試合のお弁当は何が良いのか?」
・「食べるのは試合何時間前がベスト?」
・「量はどのくらい?」
などなどいつも悩んでおりました。
そこで、そんな悩みを解決するために、試合当日のベストな食事、“勝負めし”についてまとめました。
筆者が務めるクリニックの栄養士さんよりアドバイスをもらったり、医学的な情報を調べた結果、試合当日のベストなスケジュールは以下の通り。

なぜこのようなスケジュールになるかを以下で詳しく解説します。
※以下の内容は、世界的にも有名な機関である
- Academy of Nutrition and Dietetics(米国栄養士会)
- Dietitians of Canada(カナダ栄養士協会)
- American College of Sports Medicine(米国スポーツ医学会, ACSM)
の共同発表として出された
American College of Sports Medicine Joint Position Statement. Nutrition and Athletic Performance
を参考に作成しています。
動くために必要な栄養素は?
食品から得られる栄養素は大きく分けると5つ。
(5大栄養素と呼ぶ)

・炭水化物(糖質+食物繊維)
・脂質
・タンパク質
・ビタミン
・ミネラル
この中でも、動くために必要なエネルギー源になるのが、炭水化物と脂質です。
試合当日のお弁当は何を準備?炭水化物?脂質?
動くためのエネルギーを確保する事が必要なのは想像に難くないと思います。
問題は具体的に「なにを準備し、いつ食べるか?」ではないでしょうか?
試合当日のお弁当って悩みますよね…。
一番大事なのは、食べやすさです。
必要な栄養素を完璧に把握し準備されたものでも、食べてもらえなければ全く意味がありません。
食の好みは人によって全く違います。
そして、普段はよく食べる子でも試合当日は緊張で食べられなくなったり、疲労した状態では食べ物が喉を通らない選手もいます。
お子さんとよく相談し準備するものを決めたほうが良いでしょう。
そして、脂質からもエネルギーは得られますが、試合前は炭水化物からエネルギーを摂取してください。
最もおすすめしたいのは「おにぎり」です。

お弁当の代表格ですよね。
よほど試合の感覚が空く予定でない限り、難しいことは考えず、「おにぎり2~3個」で十分です。
(奥さんには”これで十分”と言ったら怒られそうですが…)
また、お米は試合の合間に食べられない。当日の朝は忙しく、お弁当準備に時間がかけられない。
そんな方には、「食パン」もおすすめ。

トーストなどの調理をする必要はありません。
ジャム、はちみつなどを添えて用意するだけであればおにぎりよりも楽です。
(トーストすると会場を汚す恐れがあり、むしろNG)
試合の合間に”おにぎり”、”食パン”をおすすめする理由
摂取された食物は以下の図のように消化器官を通過していきます。

①口腔内で食道を通れる大きさにかみ砕かれる。
↓
②胃の中で1~2時間かけてドロドロに溶かされる。(胃酸の働きにより消化される)
↓
③胃の内容物が十二指腸に運ばれ、様々な消化酵素の力により栄養素に分解される。
(炭水化物→ブドウ糖、タンパク質→アミノ酸、脂質→グリセリン・脂肪酸)
↓
④小腸で吸収された栄養素が血液に取り込まれ全身に行きわたる。
(1~2時間かかる)
↓
⑤小腸で吸収されなかった不要物は、大腸で便になり直腸から排泄される
以上のような流れをたどります。
ここで重要なポイントは胃での消化に1~2時間、小腸での吸収にさらに1~2時間かかる事。
つまり、固形物を摂取して、それがエネルギーとして利用されるのに早くても2時間程度かかります。
また、消化・吸収にかかる時間は脂質を多く含むもの(肉、揚げ物)であればさらに長くかかります。

「試合で力を出し切れるように、大好きな唐揚げ弁当にしよう!!」
お気持ちはすごくわかります。
が、上の写真のような豪華なお弁当を食べて、エネルギーに変わるのは3~4時間はかかるはずです。
練習試合でも公式戦でも試合の合間が4時間空く事は稀だと思います。
先ほど、「おにぎり2~3個で十分」と表現したのはこのためです。
おにぎり,食パンであれば、2時間程度でエネルギーとして利用可能です。
(中身が唐揚げやツナマヨになると遅くなります。梅干し、おかかなど脂質が少ないものがおすすめ。)
試合スケジュールが
1試合目終了 10:30
2試合目開始 12:30
こんな風に2時間程度あくのであれば、「おにぎり・食パン」を摂取すべきだという事になります。
消化・吸収に関してさらに詳しく知りたい方は以下のリンクからご確認下さい。
↓↓
【医師監修】食べ物の消化時間はどれくらい?排泄までの時間や伴う不調を紹介
2時間空かない場合はどうする?
2時間あれば、おにぎり・食パンなどの炭水化物を摂取してもエネルギーに変わります。
しかし、その日の予定によっては2時間確保できない時も必ずあります。
消化・吸収の時間が確保出来ない時はおにぎり・食パンなどの固形物を摂取する事はおすすめしません。
試合開始まで2時間をきっているなら”半固形物”
そんな時におすすめしたいのが消化に良い果物やゼリー飲料を摂取する事です。


バナナやゼリー飲料であれば、消化にかかる時間が大幅に短縮され、試合開始1時間前に摂取してもエネルギーになり得ます。
1時間をきっているなら”水分のみ”
ただ、1時間きって直前に摂取する事はおすすめできません。
直前はスポーツドリンクなど糖分が入った水分で摂取することがおすすめです。
このように、お弁当とは別に軽食を用意する事で様々な状況に対応できます。
おにぎり1つで1試合乗り切れる??
2時間前のエネルギー摂取はおにぎり1つが限界でした。
おにぎり1つから得られるカロリーは200kcal程度。
バスケット選手が1試合に消費するカロリーは400~900kcalだそうです。
(出場時間、体重、プレースタイルにより変化)
つまり、おにぎり1つでは試合終盤にガス欠を起こす可能性があります。
そのため、1日で複数試合をこなすハードな1日は、朝から身体にエネルギーを蓄積させておく事が重要です。
朝ごはんはバランス良くたっぷり食べて下さい。
<和食>

<洋食>

写真のように栄養フルコース型の食事がおすすめ。
これだけの量を消化・吸収し、エネルギーに変えるためには3~4時間はかかると言われています。
脂質などは消化・吸収しずらい反面、時間をかけて吸収した栄養は身体に蓄積されます。
仮に9時から試合があるのであれば、遅くとも6時には食事を終えている必要があるわけです。
ベストな状態で試合に臨むには早起きが必要なのですね。
上記の根拠は以下の論文でも述べられています。
↓↓
American College of Sports Medicine Joint Position Statement. Nutrition and Athletic Performance
試合後は”炭水化物+タンパク質”
「試合が終わった後は帰るだけだから我慢しなさい。お弁当だけでも大変なんだから!!」
その気持ちはよくわかります・・・・・と妻が言っています。
しかし、試合後も実は大切。
運動により消費した筋グリコーゲン(筋肉中のエネルギー)を回復するためには運動後、出来る限り素早く炭水化物を摂取する事が望ましいとされています。
これにより翌日の疲労感を軽減する事が出来ます。
また、筋肉を強くするためには、材料となるタンパク質が必要不可欠です。
運動直後の身体はタンパク質を取り入れるのに絶好のタイミングです。
疲労回復+筋力upのためには試合後に出来る限り素早く軽食をとる事をおすすめします。
運動直後も”おにぎり”と”パン”がおすすめ
炭水化物+タンパク質を摂取するのに優れているのも、”おにぎり”や”パン”です。
試合前に摂取するおにぎりは、消化の時間を短縮するために、脂質を含む具は避ける事をおすすめしましたが、試合後は逆です。
・唐揚げ
・ツナマヨ
・焼肉
・卵焼き
・鮭
など、脂質と共にタンパク質を含むものをチョイスするとばっちりです。
パンは、エネルギーをプラスするためにジャムやはちみつをおすすめしましたが、試合後は
・タマゴサンド
・ベーコン・ハムサンド
・チキンサンド
・カツサンド
などにすると良いでしょう。
運動後は炭水化物とタンパク質を同時に摂取した方が良い(出来る限り早く)。
これは研究でも示されていますので詳しく確認したい方は以下のリンクからチェックしてみて下さい。
↓↓
準備が難しい場合は”プロティン”や”ヨーグルト”でタンパク質補充
試合後の分まで準備出来ない方もいらっしゃると思います。
そんな方におすすめなのは、“プロティン”と”高タンパク質ヨーグルト“です。
いずれも帰宅後すぐに摂取する事が可能な食品で、タンパク質を効率よく摂取できます。
成長期のお子さんに使用するプロティンはジュニアプロティンをおすすめします。
ジュニアプロティンは一般的なプロティンに比べ、飲みやすく作られていたり、成長期に必要なビタミンやミネラルが付加されているものが多いです。
「成長期にプロティンは毒。筋肉をつけすぎると身長が伸びない。」
こんなネガティブな意見を耳にする事がありますが、心配はいりません。
タンパク質は筋肉をつけるためだけの栄養素でなく、あらゆる身体の組織を作る原料になる大切な栄養素です。
普通に運動し、必要なタンパク質を摂取しているだけで身長に悪影響を及ぼす事はありません。
成長期のお子さんに使用しやすいおすすめのジュニアプロティンを以下でご紹介します。
紹介するジュニアプロティンは
・飲みやすいと評判
・牛乳にアレルギーのある方も問題なし
・骨の成長に欠かせないカルシウムも豊富
・人工甘味料無添加で安心
こんな嬉しい特徴をもった商品です。
↓↓
アストリション 大豆 ジュニアプロテイン 人工甘味料無添加 ココア味
プロティンよりももっと手軽なのがヨーグルトです。
特に、タンパク質がより豊富に含まれている商品がおすすめです。
テレビCMでも見かけた事のある有名な商品です。
↓↓
まとめ
改めて試合当日の食事スケジュールをまとめると以下の通りです。

練習で培ってきた成果を発揮するためには、十分なエネルギーが必要です。
また、本文では紹介していませんが、試合当日だけ良い食事を心がけても高い効果は期待できません。
・普段から早起きを習慣にして、朝ごはんを欠食しない。
・1日に必要なカロリーやタンパク質量をある程度把握して食事する
・どの程度の量を食べると動きやすいかを普段から確認しておく
などの、良い習慣を毎日積み重ねる事が本当に大切です。
毎日の食事に気を使う事は一流アスリートへの第一歩です。
是非、ジュニア期から意識して実践してみて下さい。
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