試合中に捻挫した!! 骨折してる?体重はかけていい?病院はどうする?

救急対応

“捻挫?”骨折?”病院はどうする??

バスケットボールはジャンプ、カッティング、急ストップなど激しい動作を伴うスポーツです。

多くのバスケット選手が競技人生の中で一度は経験する怪我の1つに”足関節捻挫”があります。

試合中にも多く、トレーナーなどメディカルスタッフが不在の場合、

監督・コーチ・保護者が対応に当たることになります。

多くの方が応急処置の方法を勉強されており、”PRICE”処置がされる事が多くあります。

P:protect(保護)

R:rest(安静)

I:ice(冷却)

C:compression(圧迫)

E:elevation(挙上)

※近年は”PRICE”よりも「PEACE and LOVE」が提唱されていますが、本題とずれるため割愛。

応急処置は慌てずに行う事が出来れば医療資格のない一般の方でも実施可能です。

足関節捻挫が発生した時に最も難しい事は

①”捻挫? or 骨折?” 

②体重を”かけてよいかどうか?

③救急外来にかかるべき? 明日、専門の外来で良い?

などではないでしょうか?

検査機器のない体育館での判断はどうしても限界がありますが

“オタワの足関節ルール”

を知っておくと上記の悩みを少しだけ解決できるかもしれません。

この記事でわかること

・足関節捻挫が発生した際の対応について

荷重をかけていいか? すぐに病院にかかるべきか?を判断できるようになる。

足関節捻挫について

足関節捻挫は大きく分けると、内側に捻る”内反捻挫””と外側に捻る”外反捻挫”に分けられます。

スポーツにおいては内反捻挫が多く発生します。

内反捻挫をすると、足関節の外側を補強している靭帯が過剰に伸長され、損傷します。

外側の靭帯は主に3つです。

・前距腓靭帯

・踵腓靭帯

・後距腓靭帯

その他の靭帯が損傷する場合もありますが、最も頻度が高いのは前距靭帯です。

よく受ける質問に以下のようなものがあります。

「これはただの捻挫ですか?靭帯損傷ですか?」

「私は靭帯が伸びただけでしょうか?切れてるのでしょうか?」

「Drに靭帯が傷ついていると言われましたが、損傷でしょうか?断裂なのでしょうか?」

以上のように一般的に様々な用語が使われ、捻挫に関してなんとなくの知識を持っているものの正しく理解できていない方も多いのではないでしょうか?

医療者によっても多少の違いはありますが、知識を整理してみます。

捻挫=足首を捻る現象のことを言います。捻挫をする事で、靭帯が伸長され損傷されたり、骨に負荷がかかり骨折や骨挫傷をきたします。

靭帯損傷=靭帯が過度に伸長される事で靭帯が部分的、又は完全に切れる事を言います。

靭帯が伸びた=捻挫により靭帯が伸長され小さな炎症は起こっているが、損傷が部分的なため靭帯としての機能を失っていない状態。1度損傷と表現される事が多い。

損傷と断裂=ほぼ同義語として考えて問題ありません。部分損傷、部分断裂、完全損傷、完全断裂など医療現場でもどちらも使用する場合があります。(断裂の方が重症のように聞こえますが)

オタワの足関節ルール

上述したように捻挫が発生した際には以下の事を判断する必要があります。

①”捻挫? or 骨折?” 

②体重を”かけてよいかどうか?

③救急外来にかかるべき? 明日、専門の外来で良い?

これらを判断する材料の一つがオタワの足関節ルールです。

オタワの足関節ルール

・以下の4点に圧痛があるかを確認する。

①外果先端又は腓骨後縁の6cm

②第5中足骨底

③内果先端又は脛骨後縁の6cm

④舟状骨

・体重をかけての歩行が可能か確認する

圧痛のポイントがわかりやすく図示されているページはこちら

以上のルールについて専門書ではこのように述べられています。

この評価は感度が高いことから「4点全てに圧痛がなく、荷重もできる場合、骨折の可能性は否定される」と解釈される。一方、特異度が低いことから骨折を検出できる可能性は低いため、「4点全てに圧痛がある、もしくは荷重できない場合、骨折の可能性がある」とは解釈できないことに注意すべきである。

引用:軟部組織損傷・障害の病態とリハビリテーション.熊谷司.メじカルレビュー社2021

感度・特異度の説明はこの記事では省きますが、以上を踏まえた現場での考え方をお伝えします。

“捻挫? or 骨折?” 

4点に圧痛なく、荷重歩行できる場合は骨折の可能性は極めて低いです。”捻挫”として判断できます。

4点のいずれかに圧痛がある、または荷重歩行できないから”骨折”と判断する事はできません。

この場合は”捻挫”、”骨折”どちらの可能性もあると判断します。

体重を”かけてよいかどうか?

上記の判断で”捻挫”と判断できた場合は体重をかけても問題ありません。

ただ、靭帯損傷が重度の場合は足関節が不安定な場合があり、歩行時に再度捻挫をすると状態がひどくなる可能性があります。その場合は体重を極力かけない、又はテーピングや包帯で固定する事が望ましいです。

“骨折”の可能性を否定できていない場合は、荷重にて状態悪化する可能性があります。病院での検査が終わるまで極力体重をかけないで移動する事をおすすめします。

救急外来にかかるべき? 明日、専門の外来で良い?

バスケットの試合は土日で開催される事が多く、受傷時に救急外来しか受診受付をしていない場合が多々あります。

救急外来で出来る検査はたいていレントゲン検査のみの事が多いです。レントゲン検査では骨折の有無以外は詳しくわからないため、骨折がない事が確認されたら

「後日、整形外科を受診して下さい。」

と言われる事がほとんどです。

そのためオタワの足関節ルールで”捻挫”と判断できた場合、急いで救急外来にかかる必要性は高くないといえます。

ただ、後日、整形外科はきちんと受診する事をお勧めします。

その理由は、専門のDrであれば足関節の動きを徒手でチェックし、靭帯の機能をチェックする事が出来ます。そのチェックで異常があればMRI検査でさらに詳しく状態を確認する必要があります。

「ただの捻挫」と放置したために、数年後に捻挫癖がひどくなって、手術に至る方もいます。

“捻挫”と現場で判断できた場合でも、靭帯損傷の程度をしっかりと確かめるため、後日、専門の整形外科を受診しましょう。

まとめ

バスケットボールにおいて発生頻度の高い捻挫の対応方法についてお伝えしました。

怪我が発生し痛がる選手を目の前にすると、対応社が落ち着いた対応をする事は非常に難しいものです。、

以上のルールをもとに冷静な判断を出来ると選手の助けになると思います。

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